「腸内フローラを破壊するNG行動」~下剤と抗生物質の乱用は避ける~
目次
あなたの腸内細菌を壊滅させる行動・腸を活性化させる行動
腸内フローラーは「バランス」が大事
病気から身を守ってくれる免疫細胞の約7割は腸にあります。体に病原菌やウイルスが入ると、腸内にある免疫細胞が働いて排除してくれます。そして、免疫細胞の働きは腸内細菌と密接に結びついています。腸内には様々な細菌が住んでおり、その群れを「腸内フローラ」と呼びます。
腸内細菌は主に「善玉菌」「悪玉菌」「日和見菌」の3種類に分けられ、どれも私たちが食べたものをエサにしています。◇善玉菌: 乳酸菌、ビフィズス菌、落酸菌、糖化菌、納豆菌、酵母菌、麹菌など
☞免疫力を高める、ビタミンを合成する、消化吸収を助けるなど、私たちの健康を維持するための活躍する菌です。炭水化物を好み、糖や食物繊維を餌にしています。
◇悪玉菌:ブドウ球菌、ウェルシュ菌、大腸菌(有毒株)など
☞腸内を腐敗させ、発ガン性物質や毒素を発生。増えすぎると免疫が下がり、肌の老化も加速してしまいます。タンパク質や脂質をエサにして増えます。
◇日和見菌:バクテロイデス、大腸菌(無毒株)、レンサ球菌など
☞腸内で善玉菌が優勢の時は善玉菌の味方、悪玉菌が増えると悪玉菌の味方をする性質があります。健康な状態では日和見菌がいちばん多く、全体の約7割を占めます。
以上のことから、肉や油の多い食事を続けていると、悪玉菌が増えやすいということがわかりますね。また、ストレスや食生活の乱れによっても悪玉菌は増加します。こうして腸内環境が悪化すれば、体調を崩す引き金になります。免疫機能も弱まり、様々な不調を引き起こしてしまうのです。
その兆候となる症状のひとつが便秘です。便は体内で出た老廃物、つまりいらないものです。それが長く体の中にとどまっているということは、日々溜まるごみを捨てずに部屋の中に置いておくようなもので、どんどん腐敗が進み、有害物質やガスが発生していきます。
そんな状態では、どんなに栄養の良いものを食べても、きちんと吸収することができません。それどころか、悪玉菌の出す有害物質が再吸収されてしまうこともあります。正常な状態だと、腸内で吸収した栄養素は血管を通して全身の細胞に運ばれ、エネルギーとして消費されたり、若い細胞を作る手助けをしたりします。
しかし、便秘が続くと取り込んだ栄養素が細胞にいきわ渡らず、脂肪として蓄えられてしまいます。その結果、代謝が低下し、どんどん太りやすい体になっていくのです。肌のターンオーバーも阻害されるため、肌荒れや吹き出物の原因にもなります。
下剤は「緊急時」だけで、常用は禁物
それならばと便秘に悩む方が安易に頼りがちなのが下剤、つまり便秘薬です。しかし、下剤を使用することで、腸の状態にさらなる悪影響を生んでしまうことも少なくありません。市販の下剤は刺激性下剤がほとんどで、腸に刺激を与えることによって排便をうながす仕組みです。
しかし、無理に腸を刺激して排便させているわけですから、使っているうちに腸の粘膜に炎症ができてしまいます。すると、体に備わった防御反応によってメラニンが炎症部分に集まり、腸の粘膜が黒くなっていきます。この状態を「大腸メラノーシス(大腸黒皮症)」と呼びます。 紫外線による肌の日焼けと同じようなメカニズムです。
さらに、使い続けるうちに腸が刺激になれ、規定量の下剤では排便できなくなってしまいます。こうして下剤依存の状態に陥ってしまうと、腸が持つ本来の働きがどんどん低下し、美肌の土台が脆弱になってしまうのです。基本的には、下剤は緊急時だけ、何日もお通じがなく体調が悪くなった時だけなど、ルールを決めて服用することをおすすめします。
現在、下剤に頼っている方は、すぐにやめるのはなかなか難しいかもしれませんが、1日でも2日でもいいので飲まない日を作ることから始めてください。同時に、正しい食事と生活改善で本来の腸力を取り戻していきましょう。下剤の代わりに「便秘解消」をうたっている健康茶を飲んでる人もいますが、これも要注意です。
中には刺激性便秘薬に使われているものと同じ成分が含まれていることもあり、これも長期服用することで 下剤依存と同様の症状を引き起こします。成分に「センナ」「ゴールデンキャンドル」「 キャンドルブッシュ」などと表示されているものは避けましょう。
どれも植物の成分なので安全だと思ってしまいがちですが、「センノシド」という医薬品に相当する成分が含まれています。便秘外来では、下剤の代わりに乳酸菌や食物繊維のサプリメントを出されているようです。そうして腸内の善玉菌が優位になるように働きかけ、徐々に下剤の量を減らしていくのです。
時間はかかりますが、下剤を使わなくても良くなる頃には、肌も驚くほどキレイになりますよ。
「風邪に抗生物質」で美肌菌が減る
風邪を引いた時に病院で処方されることがある抗生物質にも注意が必要です。体内に入り込んだ有害な菌を殺すのと同時に、よい菌まで殺してしまうため、腸内フローラにも影響を与えます。その結果、内側の美肌菌が減ってしまうのです。そもそも風邪は抗生物質では治りません。
抗生物質というのは細菌類を殺す薬です。一方で、肺炎や溶連菌感染症などではない普通の風邪を引き起こしているのは「ウイルス」です。これは細菌とは全く別物で、抗生物質は効きません。また、膀胱炎などで抗生物質を処方された時に、きちんと飲み切らずに余った薬を家に残しておいて、体調不良の時に自己判断で飲んでしまう人がいます。
しかし、これは絶対にやってはいけません。まず、抗生物質には多くの種類があれ、それぞれに効果の対象となる細菌が異なります。その時の不調の原因となっている菌にその抗生物質が効くかどうかは、きちんと医療機関で検査しないとわからないのです。
薬を飲んでも意味がないかもしれないどころか、美肌菌を始めとするよい働きの菌を殺してしまうのですから、自己判断での抗生物質の服用は百害あって一利なしと言えます。医師の正しい診察を受けずに抗生物質の乱用を続けていると、美肌からは遠ざかってしまいますし、それどころか健康を害することにもなりかねません。
次回、「体がむくむ原因とは?」~夜に水分と摂りすぎていませんか?~
関連情報