「体内の糖化を防ぐための食事術」~甘いものをとりすぎると細胞がコゲていく~
目次
身体の老化を加速させる糖質とうまく付き合っていくために
細胞がコゲつく「糖化」のしくみ
美肌菌を増やす食事について考える上で、まず注目したいキーワードが「糖化」です。2010年頃からアンチエイジングの分野ではよく耳にするようになりましたが、「酸化は知っているけど糖化って何?」という方もいるかもしれません。
糖化とは老化の原因の1つと言われる体の反応で、悲しいことに一度起こってしまったら元に戻すことができません。
まずは糖化とはどういうものか説明しましょう。簡単に言えば、糖化とは体の中の細胞がコゲるような状態になることです。糖化が進む原因は大きく2つあり、糖質過多の食品を食べすぎること、そして食後の血糖値の急上昇を招く食生活にあります。
糖質とはご存知の通り、ご飯やパン、麺類などの主食や、小麦粉製品、甘いもの(お菓子、甘味料、甘みの強いフルーツ)などの主成分、 野菜ではいも類やニンジンなどに多く含まれます。本来、糖質は脳などのエネルギー源として必要不可欠な栄養素です。
しかし、多く摂取しすぎて体内で使い切れずに余ると、血液中の糖(血中グルコース)が体内のタンパク質に絡みつき、AGE(糖化最終生成物)という老化原因物質を生成してしまいます。これが糖化です。 肌のコラーゲンもタンパク質の一種で、糖化が起きると、コラーゲンに柔軟性がなくなり、肌のハリが低下してたるみなどの問題が起こります。
また、血流も悪くなってしまい、美肌菌の棲む場所として適さない肌環境になります。つまり、糖化はたるみやシミなど肌の老化を進行させる原因になるのです。
糖化を進めるのは「食後の高血糖」
糖化の指標となるのは食後の血糖値です。血糖値を急激に上げる食事をして、食後に高血糖状態になると、血糖値を下げる働きをするインスリンというホルモンの分泌が追いつかなくなり、体内に糖が余るような状態になります。この余った糖が多ければ多いほど、もしくは糖が余っている時間が長ければ長いほど、体内に存在しているタンパク質と絡みついてできるAGEの量が増え、糖化が進んでしまうのです。
最近は、この食後の血糖値の急上昇を「血糖値スパイク」と名付けて、多くの医師や専門家たちが注意喚起していますね。
糖質の過剰摂取や、長時間にわたって空腹が続いた後に主食を”ドカ食い”するなど、問題のある食生活を続けることによって血糖値スパイクが頻繁に起こると、動脈硬化が進行し、脳梗塞、心筋梗塞、癌や認知症を引き起こすとも言われています。
病気まで行かなくても、前日のように美容面での悪影響は相当なものです。この血糖値スパイクを起こさない食生活が、美と健康の重要な鍵の1つであるということを心にとどめておいてください。なお、GⅠ値(グリセミック・インデックス値)という言葉をご存じの方も多いかもしれません。
これは食後血糖値の上昇度を示す仕様で、このGI値が低い食品ほど、食後血糖値の急上昇が起こりにくくなります。主食について言えば、白米よりは玄米、うどんよりはそば、 食パンよりはライ麦パンや雑穀パンと、その食品の中に含まれる食物繊維の量が多いほど、GI値は低くなります。
可能な範囲で、白い食品(精製された食品)よりは茶色の食品(食物繊維が残っている食品)を選ぶことを心がけるだけでも、糖化を防ぐ一助になります。
老化原因物質のAGE
また、老化原因物質のAGE含まれていて、その数値(含有量)が高い食品を食べることも糖化を進めると言われています。AGEは糖質とタンパク質を高温で加熱すると増えるので、食品そのものというよりも調理法が問題です。「加熱する温度が高いほどより多く発生する」という特徴があるため、高温調理となるグリルや油で焼いたもの、強火で炒めたもの、あげたものなどは控えめにするのが正解です。
目安として、こんがりきつね色に焼き色がついた部分や焦げた部分には大量のAGEが含まれていると考えてください。こういったAGEの多い食べ物を習慣的に口にしていた方は、それらを減らすだけでも糖化対策になります。糖化対策は1日でも早く始め、若ければ若いほど意味があります。
糖化は元に戻らないと前述したのは、糖化により発生するAGEという老化原因物質は、体内で一度発生すると排泄されるまでのスピードが非常にゆっくりなためです。一方で、食品から取り込まれるAGEもあり、蓄積はどんどんされていきます。つまり、糖化を防ぐには糖化がこれ以上進まない食事術が必要なのです。
自分の現時点の糖化度(AGEの蓄積レベル)は、美容皮膚科のある一部のクリニックなどで測定することができます。気になる方は一度チェックしてみるのもいいでしょう。ちなみに、 なんと実年齢よりも20歳以上糖化が進んでいる方もいます。
日中はまともに食事が摂る時間がなかったり、1日中何も食べない時間が続いた後に夜中にピザをお腹いっぱい食べたりする食生活を続けていたりする方がなる可能性があります。糖化度のレベルは、まさにこれまでの食生活の積み重ねの結果が現れたものですが、 気づいた今がチャンスです。
糖化がこれ以上進まない食事術を実践すれば、自ずと糖化しにくい体質になり、数値の上昇を食い止めてくれるでしょう。それにもちろん肌の老化の原因は糖化だけではありません。糖化対策以外の美肌菌を育てて増やすための極意は、このブログの随所で紹介していきます。
次回、「体の老化を加速させない糖化対策」~甘いものを食べてもなかったことにする方法~
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