「シミに対する正しいケア」~日焼けはアフターケアがカギ~
目次
美白化粧品でシミが消えることはほとんどない。あくまで予防のUVケアが大切!
シミ消しコスメがシミを濃くする恐怖とは
◆要チェック:シミハンター女子
・シミ消しコスメはほとんど試している。
・日サロに通っていた過去の自分にダメ出ししたい。
・外出には日傘とアームバンドが必須。
☆化粧品でシミを消すのは潔く諦めよ!美白成分の刺激で「炎症ジミ」ができる人も
「化粧品でシミが消えた人は周りに何人いますか?」
①美白成分でシミを消すのは現実的にはほぼ不可能!
美白とは、肌の色調変化を予防することと定義されています。美白化粧品で明らかに肌が白くなることは、基本的にはありません。ただし、理論だけで言えば、できたシミを薄くすることは不可能ではありません。でも、そのためには、強力な効果と同時に刺激も伴う成分を、かなりの濃度で塗り続ける必要があります。かなり現実的には難しく、安全性を重視した市販の美白化粧品では、せいぜい1年に塗り続けて少しはシミが薄くなったかも程度の効果です。
②美白成分の刺激で炎症性のシミができる
シミの元であるメラニン色素は、肌の炎症に反応して生成されます。炎症が起きる原因は、紫外線、ニキビ、怪我、刺激の強い成分、摩擦などのあらゆる肌ダメージです。20代前半までのシミは、ほぼニキビなどの炎症でできたものです。つまり、シミを防ぐには、まず炎症を引き起こす行為を慎むべきです。ところが、シミに有効とされる成分は刺激も強く、肌が炎症を起こしがちで、皮肉にもシミを濃くする場合が多いのです。
シミの3分類とそれぞれの対処法
・老人性色素斑:長年の紫外線A波の蓄積により10年から20年かけて現れるシミ☞根本治療はレーザー
・炎症性色素沈着:ニキビ、傷、日焼けなどの炎症でできたシミ☞自然に消えるのを待つ
・肝斑:主に女性ホルモンの乱れが原因☞トラネキサム酸の内服&塗布が有効。
<老化性のシミと肝斑の原因は?>
紫外線を浴びてもすぐにシミができるわけではありません。今まで浴びてきた紫外線A波(UVA)が蓄積し、10年以上経ってシミを作り出すのが、「老人性色素斑」です。一方、肝斑のメカニズムはまだ明確ではありませんが、主に女性ホルモンの乱れが原因と考えられています。
<炎症が元凶のシミも多い!>
20代前半までのシミやニキビ、怪我、日焼けなどの「炎症」による炎症性色素沈着がほとんどです。若いうちはターンオーバーが早く、本来はメラニンが残りにくいのですが、炎症が深くメラニンが真皮に落ち込んだりすると、黒いシミが残る場合もあります。これは30代以降の女子も他人事ではありません。つまり、刺激による肌の炎症もシミを作るのです。
ビタミンC(アスコルビン酸)やハイドロキノンなどの美白成分は刺激が強く、シミを濃くするケースもあるので要注意です。
<シミの3分類と対処法>
シミは以下の3つに分類され、タイプによって対処法も異なります。
①老人性色素斑
☞UVA波の蓄積によって10年から20年かけて現れます。薄茶色で輪郭は比較的はっきりとしている。
【対処法は?】
基本的に消すためにはレーザー治療に頼るしかありません。肌が強い人はビタミンC(Lーアスコルビン酸ナトリウム)を塗ると、シミが多少は薄くなる可能性もあります。ただし、ビタミンCそのものにはかなりの刺激があり、肌に炎症が起きてかえってシミが濃くなることもあります。普段のケアとしては、プラセンタ、ビタミンC誘導体などで悪化を優しく防
ぐのがおすすめです。
②炎症性色素沈着
☞ニキビ、怪我、日焼け、摩擦などの炎症によってできたシミです。
【対処法は?】
ビタミンCなどの強い美白成分は炎症を起こし、かえってシミを濃くしやすいのでNGです。ターンオーバーが正常なら放っておいても3か月くらいで消えるので、普段通りの優しいスキンケアをしましょう。消えるまでの間はコンシーラーなどで隠しましょう。
③肝斑
☞主に女性ホルモンの乱れが原因で、顔の左右対象にぼんやりとした形で現れます。20代後半から40代の女性によくできます。
【対処法は?】
「トラネキサム酸」の内服と「mートラネキサム酸」の塗布が有効とされています。トラネキサム酸は割と作用の穏やかな成分なので、継続しやすいです。レーザー治療は種類によっては逆効果だが、きちんと選べば効果的と言えます。
レーザー治療後のケアとステロイド
・シミを取るならレーザー治療が早道。刺激に弱い人は炎症気味になる場合もあるので医師と相談を。
・炎症治療後の肌はメラニン(肌を守る物質)が破壊され無防備な状態。紫外線は徹底ガード。
・処方された薬はしっかり活用を。ステロイドは長期使用は厳禁だが、1週間くらいなら問題ない。
<シミのメカニズムとレーザー治療の注意>
紫外線などのダメージから肌を守るために生成されるのがメラニンです。メラニンが皮膚表面で酸化して黒くなるとシミになります。レーザー治療後の肌はメラニンが破壊され無防備な状態です。紫外線を浴びてしまうと、普段以上に炎症が起きやすく、逆にシミを作ってしまうこともあります。
<ステロイドとは危険な薬なの?>
腎臓のそばには副腎という器官があり、肌や免疫の健康を保つ副腎皮質ホルモンを分泌しています。そこで、皮膚治療のために合成で作られたのが合成副腎皮質ホルモン、通称「ステロイド」です。副腎皮質ホルモンはステロイドという化学構造をしているため、こう呼ばれています。ステロイドが怖いのは、長期使用すると自力で副腎皮質ホルモンを分泌できなくなり、ステロイドなしには健康な肌を保てなくなることです。ですが、レーザー治療後などに1週間くらい塗る分には心配ありません。
<ステロイドの強さ>
☞ステロイドは長期使用すると自分では副腎皮質ホルモンを分泌できなくなり、どんどん強力なステロイドに頼らないといけなくなります。使い続けると副作用で炎症がより悪化しやすくなるので要注意です。
◆ステロイドの影響◆
医師の監督なく家庭で利用する場合は、基本的には最も効果の弱いウィークタイプを用いて、どれだけひどくてもミディアムまでが限度です。特にステロイドの皮膚への影響は塗る部位によっても大きく異なるため、素人知識で強力なステロイドを使用すると大変なことになります。基本的には強力なステロイドは皮膚が薄い部分(目の周りや性器周辺)にはNGです。
日焼けしちゃったらアフターケアで巻き返せる!
◆要チェック:日焼け後放置女子
・常にSPF50+、PA++++の最高値を使う。
・真夏でもUVは朝の1回しか塗らない。
・めんどくさがり。
☆夏のレジャー後の日焼け度合いは、正しい炎症ケアをするか否かで大違い!
「日焼けのアフターケアが美肌を左右する」
①紫外線を浴びた直後に美白化粧品を塗っても意味なし!
夏のレジャーを楽しんだ後は、日焼けが嫌なら必ずアフターケアをするのが鉄則です。ケアをするかしないかでかなり差があります。ただし、ビタミンCなどの美白コスメは、メラニンの生成や酸化を予防するのが基本効果です。(大きな効果があれば、その分刺激もあります。)太陽光をたくさん浴びた後は、すでにメラニンが次々と生産されています。この段階になると、美白成分を塗ってもあまり意味はありません。
②メラニン生成の原因である炎症を鎮めることが肝心
メラニンは本来、肌を守る物質です。メラニンの工場「メラノサイト」は、紫外線によって肌が炎症を起こすことで、肌を守るためにメラニンを作れと指令を出すのです。ただし、メラニンが作られたからといって、すぐに肌が黒くなるわけではありません。肌が黒くなるには、それなりの量のメラニンが必要です。つまり、抗炎症成分で肌の炎症を早めに沈めれば、その分メラニンの生成量が減り、日焼けを最小限に塞ぎます。
メラニンが溜まる前にするべきは正しい「アフターケア」とは
・肌の炎症が静まればメラニンの生成も収まるので、早めに抗炎症成分を。(医薬部外品がおすすめ)
・抗炎症成分=「グリチルリチン酸ジカリウム」「mートラネキサム酸」「プラセンタエキス」など。
・きちんと対処すれば、ほてりや日焼けを最小限に食い止めることができ、肌色の回復も早まる。
<炎症を鎮めればメラニン生成も収束>
メラニンは肌を守ってくれる物質ですが、ある程度の量になると肌が黒くなってしまいます。紫外線を長く浴びた肌は炎症を起こしており、これに反応してメラニンが生成されます。できるだけ早く炎症を鎮めれば、メラニン生成も早めに収まり、肌色の変化も最小限にできます。
<プラセンタの体内摂取には注意!>
注射や飲み薬に使われる「プラセンタ」は、化粧品用のプラセンタとは異なる成分です。女性ホルモンや黄体ホルモンの分泌を促すもので、副作用があるので軽々しく手を出さないようにしましょう。長期使用すると自発的なホルモン分泌が抑制され、月経不順や不妊症などのリスクもあります。紫外線をたくさん浴びたら、早めに抗炎症成分でケアしましょう。
<おすすめの抗炎症成分>
日焼けをした後のケアには、次のような抗炎症成分がおすすめです。
◇グリチルレチン酸ステアリル、 グリチルリチン酸2K(ジカリウム)
☞最もポピュラーな抗炎症成分で、ステアリルはクリームなど油が多い製品に配合、2K(ジカリウム)は化粧水など水が多い製品に配合されている。
◇プラセンタエキス
☞美白有効成分の一種であり、微弱な抗炎症作用も確認されている。角質のターンオーバーを促進する働きにより、メラニンを早く排出す効果も期待されている。
◇mートラネキサム酸
☞肝斑に効くことで有名成分だが、炎症を抑えるのにも効果的。
◇酢酸トコフェロール
☞抗炎症成分ではないが血行促進で代謝を早めてメラニンの排出を促す。
◇アラントイン
☞細胞修復を手助けし、創傷治療を促進する抗炎症作用も。
※抗炎症作用はとても優れた効果だが、ステロイドのように長期利用し続けると免疫が低下したり、自前の肌バリアが弱まるリスクもある。ここにある成分は副作用の小さいものばかりであるが、あくまでお助けアイテムとして短期利用を心がけましょう。
次回、「正しいコスメの選び方」~自己流は事故流につながるので注意が必要~
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