「女性ホルモンを味方につけて美肌へ」~生理に振り回されない肌へ~
目次
ホルモンが肌に与える影響は? 肌の調子と深くかかわるメカニズム
女性ホルモンとうまく付き合うコツ
卵胞ホルモンと黄体ホルモンが心と体、肌に様々な影響を及ぼします。ホルモンと呼ばれるものはたくさんの種類があります。その中で、女性にとって最も身近であり、大きな影響を受けているのが女性ホルモンです。実は女性でも男性ホルモンテストステロンを分泌していますが、その量は女性ホルモンに比べて圧倒的に少ないため、影響がほとんどないのです。
女性ホルモンには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の2種類があり、 この2つの分泌量の変化によって生理や排卵のリズムはコントロールされています。さらに、肌の調子や脂肪や水分の代謝にも関係しています。黄体ホルモンは妊娠や出産によって一時的に増え、 肝斑や色素沈着を濃くすると言われています。
対して、卵胞ホルモンは年齢によって大きく左右されます。思春期を迎える7歳頃から増え始め、20~30代にかけてが最も多い時期となり、妊娠、出産の適齢期と言えます。その後、加齢によって卵巣機能が低下するため、40歳頃から減り始め、40代半ばを迎えると激減します。
これを機に更年期になり、ホルモンバランスや自律神経も乱れて、不調には見舞われやすくなります。それを過ぎるとと卵巣の機能は完全にストップし、再び体調は安定し始めます。このように、女性の一生はホルモンに左右されていると言っても過言ではないのです。
最近は、若年性更年期の女性が増えていると言われています。45歳頃から閉経を挟んで のこの10年間を更年期と呼び、ほてりや冷え、のぼせ、検怠期などの症状が現れます。この症状が20~30代で現れるのが若年性更年期とよばれます。
ストレスなどが引き金となって、ホルモンや自律神経のバランスが見られるのが原因で、女性の社会進出などによって増えていると言われています。放置すると不妊や病気につながることもあり、異常を感じたら早めに婦人科を受診しましょう。女性の骨はホルモンに左右されていると言われ、女性の骨量は18歳がピークです。
これは卵胞ホルモン(エストロゲン)に骨の形成を司る働きがあるためで、卵胞ホルモンの分泌量もピークを迎えます。その後、45歳を過ぎたあたりから閉経に向けて卵胞ホルモンは急激に減っていき、それに伴って骨量も減少します。そのため、女性は男性よりも骨粗鬆症になる可能性が大きいので、日頃からカルシウムの摂取と運動を心がけて予防しましょう。
女性ホルモンを味方につけて美しい肌に
◇排卵前1週間:卵胞ホルモンは美肌の味方!
☞卵胞ホルモン(エストロゲン)には、肌の水分量を上げたり、コラーゲンの生成を促してハリを良くしたりする美肌効果があり、 皮下脂肪を蓄えて妊娠に備えるなど、女性らしい体に導く作用があります。このホルモンの分泌量は生理後から徐々に増え、 排卵前にピークを迎えます。そのため、排卵前の1週間は卵胞ホルモンの恩恵で肌の調子が最もよく、気分も明るく行動的になります。
<お手入れのポイント>アグレッシブなケアを組み込める好調肌!
ピーリングや美容医療などの攻めのケアや、マッサージなどスペシャルケアをするのにぴったりな時期です。トラブルも起こりにくいので、新しい化粧品を試したり、パーマや脱毛をしたりするのもおすすめです。新陳代謝もよく、脂肪も燃焼しやすいので、ダイエットにも適しています。
◇生理前1週間:黄体ホルモンの影響で不調発生
☞排卵後は卵胞ホルモンが減り、今度は黄体ホルモン(プロゲステロン)の影響を多分に受けます。皮脂分泌が盛んになり、ニキビができやすい状態になります。生理前に肌が荒れるのはこのためです。さらにシミができやすく、水分を溜め込んでむくみが発生するなど、不快な症状のオンパレート。PMS(月経前症候群)も現れ、頭痛や眠気に襲われやすく、イライラしたり憂鬱な気分に陥りがちです。
<お手入れのポイント>耐え忍ぶ時期、シンプルなケアを地道に!
肌の調子が悪い時期に突入し、皮脂分泌が多くなるので、洗顔はしっかり行い、極力トラブルを起こさないように保湿中心のシンプルなお手入れを心がけるのがベターです。シミができやすい時期でもあるので、いつも以上にUVケアをしっかりとしましょう。水分を溜め込みやすく、ダイエットには不向きでしょう。
ホルモンの働きを知る
Q1:ホルモンが増える食べ物は?
A:女性ホルモンの材料は実はコレステロールで、良質な肉や卵をしっかりと食べて摂取する必要があります。また、よく耳にするイソフラボンは、大豆に含まれる女性ホルモンに似た成分です。個人差はありますが、体内で卵胞ホルモンの代わりに働き、女性ホルモンの不足を補ってくれる優れるものです。
バストアップに効果的と言われるプエラリア・ミディフィカ(タイなどに自生するマメ科の植物)にも同じような働きが認められています。睡眠に関わるホルモンの原料となるタンパク質や、快眠に導くと言われ大豆などに含まれるレシチンも積極的に取りたい栄養素です。
Q2:最近の女性は男性ホルモンが増えているって本当?
A:ストレスがあると身体は自分を守るために攻撃的になりますが、その時に出るのが男性ホルモンです。仕事で忙しい、毎日送っていたり、家事や育児に追われて自分の時間が取れないなどの理由でストレスを抱える女性は、男性ホルモンの分泌量がアップします。
皮脂分泌が増えてニキビができやすくなるほか、あごまわりに濃いひげが生えてくることもあります。不規則な生活や栄養バランスの乱れも関わっています。”男性化”を感じたら、日々の生活を見直し、リラックスを心がけましょう。
Q3:生理前の不安定な時期はどう乗り切ればいいですか?
A:シンプルですが、肌調子が悪くイライラしがちな時期と割り切るのが一番です。「ニキビができてもそのうち治る」「今はしょうがない」とあまり気にせず、意識的にリラックスをするようにしましょう。 ただし、あまりにもイライラや不安感などのPMSの症状が強い場合は、婦人科に相談するのも手でしょう。ピルを飲んでホルモンバランスをコントロールすることで楽になるケースもあります。
Q4:ドーパミン、エンドルフィン、アドレナリン、、、これらは何のホルモン?
A:ドーパミンは、興奮すると分泌される脳内ホルモンで、強烈な刺激によって体を動かす作用があり、おいしいものを食べるなど生きるために必要な行動を起こさせ、人間らしい幸せを導きます。エンドルフィンは脳内麻薬とも言われる快楽ホルモンです。
楽しさや幸せ、喜びなどを感じると分泌され、ストレスを減らして免疫力を高める効果があります。恋をするとキレイになるのはこのおかげと言われています。アドレナリンは全身で作られ、交感神経を優位にしてドキドキと興奮させたり、活動的にさせたりします。
調子のよい肌を作る睡眠
鍵はセロトニン(朝、昼に働く)とメラトニン(夜に働く)で、成長ホルモンを出すのが大事!
新しい細胞を作るのに欠かせないのが成長ホルモンです。細胞の成長を促し、ダメージを受けた細胞や組織の修復、再生を行います。疲労回復、脂肪燃焼、免疫力を高めるといった効果もあり、成長ホルモンこそ健やかな肌と体を作る鍵を握っています。
この成長ホルモンが最も多く分泌されるのが、入眠2時間後に訪れるノンレム睡眠の時です。ノンレムとは、脳がしっかり休んでいる状態、つまり深く眠っている快眠状態を指します。快眠にはメラトニンというホルモンが出ることが条件で、メラトニン自体にも体内時計を調整し、抗酸化や免疫強化などの作用があります。
このメラトニンを出すために必要なのがセロトニンです。セロトニンは日光を浴びることで活発に活動し、夜にメラトニンの分泌が促されます。これらは決まった時間に分泌されると言われ、成長ホルモンともど体内時計に支配されているのです。そのため、昼間に2時間以上寝たところで成長ホルモンは分泌されません。
毎日規則正しい生活をして、良質な睡眠をとることが大切です。何時間寝るのがベスト と言われているかというと、6時間半と言われています。その根拠の1つが、長寿の人の平均睡眠時間。もう1つの根拠が、脳が覚醒している状態に近いレム睡眠の時の方が目覚めやすいという理由からです。
入眠からレム睡眠まで1時間半かかり、その後またノンレム 睡眠→レム睡眠と繰り返します。そのタイミングで考えると、寝て6~7時間経ってから起きるのがベストなのです。また、夜の10時から2時に眠るのが良いと言われています。”シンデレラタイム”と呼ばれるこの時間帯に熟睡していると美肌になると言われますが、少々非現実的です。
おそらく夜8時頃に寝ていた時代の名残りで、今は就寝時間か10時から12時くらいと考えられると、その約2時間後からが該当すると考えられます。とはいえ、大切なのは毎日同じ時間に睡眠をとることで、その方が成長ホルモンの分泌が促れされやすいのです。
質の良い睡眠をとるために
規則正しい生活を送り、睡眠ホルモンの原料となるタンパク質を積極的にとることに加え、リラックスして眠りにつくことが大切です。そこで、リラックスを流すためのポイントをチェックしていきましょう。
☆睡眠のために良いこと
・やや暗めの照明
・ホットミルクやハーブティー
・ストレッチなどの緩い運動
・浴槽にゆっくり浸かる
日中の交感神経が優位な状態から、リラックスを促す副交感神経が優位な状態にスイッチする必要があります。そのためには、浴槽にゆっくりと浸かって、体の芯までぽかぽかと温まるのが良いでしょう。ストレッチなどの緩い運動をして全身を緩めるのも効果的です。さらに、ハーブティーなどの温かいものを飲むのもおすすめです。
特にホットミルクには、セロトニンやメラトニンの材料となるトリプトファンというアミノ酸が含まれているのでおすすめです。体温が下がるときにスムーズに眠りに入るとも言われるため、一時的に体温を上げる。これらは一石二鳥です。また、明るいところにいると交感神経が優位になるため、照明を少し落としておくのも睡眠の質を高めるコツです。 アロマを炊いたり、お気に入りの本を読んだり、自分にとって安らぐ時間を作りましょう。
★睡眠のために悪いこと
・スマートフォンやパソコン
・蛍光灯の明るい光
・カフェイン入りの飲み物
・汗をかくほどの激しい運動、
眠りにつく2時間前ぐらい前から興奮するようなことは避けましょう。交感神経が優位になったままではリラックスできず、たとえ眠ったとしても質のいい睡眠にはなりません。例えば、ネットサーフィンをしたり、ブログを書いたり、スマートフォンやパソコンでメールのやり取りをしたり、ベッドに入りながらテレビを見たりです。
これらの画面は明るい上に、メラトニンを減らすというブルーライトが出ているため、やめるべきです。また、温かい飲み物がいいと言っても、コーヒーや緑茶だと、興奮作用のあるカフェインでかえって目が覚めてしまうこともあります。汗をかくほどの激しい運動も避けましょう。運動で疲れるとぐっすりできそうですが、やりすぎることでアドレナリンが分泌され、交感神経が優位になり、リラックスから遠のいてしまいます。
次回、「正しい髪のお手入れ方法」~健康な髪の秘訣と女性の薄毛対策とは?~
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