「食事で肌悩みを改善する」~肌に効く食べ物を知る・食べ方を知る~
身体の働きを知って賢く食べれば、肌トラブルや悩みは解決します!
栄養を吸収できる身体を作る
栄養をしっかり吸収するには、腸のコンディションを整えることです。「腸内美人は素肌美人」という言葉があるように、女性が美しくいるためには、腸内環境を整えることが大切です。肌、髪を作る栄養素を取り込んでいるのは腸で、この腸の中には微生物やバクテリア、乳酸菌やビフィズス菌といった約1000種もの腸内細菌が棲みついています。
その数は1000兆個にもなり、人間が作り出せないビタミンやエネルギーを供給しています。でも、どのような腸内細菌が定着するかは3歳くらいまでに決まってしまうので、食事から得られる効果は人それぞれとなります。腸内細菌を良くしようと乳酸菌飲料やサプリメントなどを取り入れても、大人になってからはそれほど定着しません。
それより、自分が持っている腸内細菌を増やすように子供のころから食べなれている発酵食品を毎日摂るようにしましょう。例えば、納豆、鰹節、みそ、キムチ、漬物などが挙げられます。食品に微生物が加わると「発酵」が起こります。微生物はたくさんの栄養素を作り出し、食品の中に閉じ込めて栄養素を格段にアップしてくれるのです。
発酵食品を摂ることで自分の腸内細菌を増やすことができるので、腸内環境が整い、便秘予防、免疫力アップにつながります。ついでに、食品に関する新常識も知っておきましょう。一つ目は大豆に含まれるイソフラボンには月経周期を整えたり、更年期症状を緩和する働きがあると言われています。
でも最近、この女性ホルモンに似た働きをするのは、イソフラボンから腸内細菌(エクオール産出菌)によって生成される物質「エクオール」にあることが分かってきました。腸内でイソフラボンをエクオールに分解できるのは、日本人で約5割、欧米人で約3割と言われています。
2つ目の新常識は、海藻からつくられる寒天はカロリーゼロのダイエット食品だと思っていませんか?実は日本人の一部は海藻をエネルギーに変える腸内細菌を保有しています。 欧米人にとってはカロリーゼロの食品でも、日本人の約1/3のとってはカロリーゼロではないのです。
これは海に囲まれた日本で長年海藻を食べ続けてきた日本人の腸内細菌の個性と呼べるのではないでしょうか。
栄養の吸収率をアップさせる方法
食べ物は口腔、食道、胃を経て腸で吸収されますが、胃酸の分泌量の低い人は腸での吸収率も低いのです。まずはよく噛んで胃酸をしっかり分泌させることが大切です。特にアサリやホタテ、魚類などに含まれるビタミンB12は、胃酸の量によって吸収率が大きく変わってきます。
また、サプリメントの鉄と胃酸の分泌を抑える胃薬を一緒に飲むと、鉄の吸収率は38%ほど低下してしまいます。食事の際、においや彩りに乏しい加工食品よりも、温かくおいしい匂いのする食べ物のほうが唾液や胃酸の分泌を促し、消化吸収の助けになると言われています。
・動物性たんぱく質はかんきつ類と摂る
☞肉や魚などの動物性たんぱく質をとっても胃もたれする人は、体内の消化酵素や胃酸の分泌が低下している可能性があります。肉や魚料理にはよくレモンなどの柑橘類が添えてありますが、これらをかけて食べると食後の膨満感が予防でき、柑橘類の酸が胃酸の働きを助けてくれます。
食事の前にレモン水を飲むのもおすすめです。また、パイナップルやキウイフルーツも肉類の分解を助けてくれます。胃が重たくなるのが嫌で肉や魚を食べなくなると、体内の消化酵素が減ってしまいますます食べられなくなってしまうので、この方法で乗り切ってみましょう。
・ビタミンⅮ×日光で肌を回復する
☞ビタミンⅮは骨や歯の健康を維持し、免疫力アップ、肌をリカバリーする成分として今注目のビタミンです。干しシイタケ、きくらげ、鮭やさんまに多く含まれますが、日光を浴びることで活性化し初めて使うことができるのです。紫外線の強い夏は体内でビタミンⅮがたくさん作られますが、冬はビタミンⅮ濃度が低下しがちです。
紫外線の害を気にして、UVケアしすぎるとビタミンD不足になる恐れがあります。冬でも15~30分程度日光を浴びればビタミンⅮをチャージできるので、これからは美肌のために、太陽と仲良くしていきましょう。
・鉄分や亜鉛はビタミンCと摂る
☞肌のターンオーバーを整え、コラーゲンの合成、髪や爪の材料となる亜鉛、そして月経のたびに流出してしまう鉄分は女性が不足しやすいミネラルの2トップです。積極的に摂りたいものの、亜鉛も鉄分もとにかく吸収率が低いです。例えば、鉄分の吸収率を見てみると、動物性食品に含まれる「ヘム鉄」は植物性の「非ヘム鉄」の約5倍吸収されます。
そこで非ヘム鉄と一緒に取りたいのが、ビタミンCで亜鉛や鉄分の吸収率をぐんと上げてくれます。亜鉛を多く含む牡蠣を食べるときは、ぜひレモンも一緒に取るようにしましょう。
・ダイエット茶は栄養吸収を阻害する
☞油の摂りすぎを気にして一日2リットル近くダイエット茶を飲んでいたら、貧血になってしまったという女性がいます。これは鉄分(非ヘム鉄)やカルシウムの吸収を妨げてしまうタンニンの影響です。また、含まれているカテキンは葉酸の吸収を阻害します。
さらにコーヒーや紅茶のカフェインは血管を収縮させ、肌に届く血液(栄養)を減らしてしまうので、美肌のためにもプラスとは言えません。飲み物のルールとして、食後30分以内は色の濃い飲み物は避けることが無難です。ほうじ茶や麦茶、ルイボスティーやミント、カモミールなどのハーブティーがおすすめです。
腸内には1~2kg、1000兆個もの腸内細菌が棲みついていて体内でのビタミンを合成したり、消化吸収の手助けをしています。でも便秘になると腸内の有益菌が減り、食べ物を腐敗させる有害菌が増えてしまいます。有害菌は活性酸素や有害物質などを大量に発生させ、腸内環境を悪化させます。
有害物質が発生した腸内では、当然ビタミンの合成率も栄養の吸収率もダウンします。肌荒れやメンタルの不調、アレルギーなどを引き起こすことになりかねませんので注意しましょう。
肌を作る「タンパク質」を摂る食事
潤い、弾力、透明感など、たんぱく質は美肌のもとになります。健康な肌を作る上でタンパク質は欠かせません。肌の潤いを保つ天然保湿因子NMFやぷるんとした弾力を肌にもたらすコラーゲンやエラスチンの原料もたんぱく質になります。また、たんぱく質にはターンオーバーを促進する働きがあります。
これは、メラニンの排出を促し、くすみやシミの予防もしてくれます。このように肌のためになくてはならないたんぱく質ですが、日本人女性は不足しがちなのが現状です。基礎代謝を高く保つのに欠かせない筋肉を保つために、たんぱく質は1日分を3食に分けて、1食で片手一盛りほど摂ることが効果的です。
パスタやパンなどが中心の食生活ではタンパク質不足は解消できないので、毎日適量を摂ることを心がけましょう。例えば、イタリアンでランチというときは、パスタセットではなく魚介や肉類などのメインを摂り、より良質なタンパク質を含めた栄養素のバランスを考えた食事にしましょう。
「アミノ酸スコア」って知っていますか?これは簡単に言うと、たんぱく質の評価を表したものです。肉や魚、卵などに多く含まれているタンパク質は、アミノ酸から成り立っています。でもどの食品のタンパク質にも私たちが摂取しなければならない9種類のアミノ酸がバランスよく含まれているわけではありません。
そこでどの食品にどれくらいのアミノ酸が含まれているかを数値化したものが「アミノ酸スコア」と呼ばれるものになります。このアミノ酸スコアが100に近いものほど、アミノ酸がバランスよく含まれていることになり、それらは良質なタンパク質と呼ばれます。
一般的に肉や魚、卵、大豆、乳製品などはアミノ酸スコアが高いので、たんぱく質をしっかり摂りたいときにはこれらをチョイスし、パスタやパン、うどんなどのアミノ酸スコアの低いものを摂るときは、高いものと組み合わせるように心がけるとよいでしょう。
1つのタンパク質源として未完成な食品も不足を補いあうことで、献立になったときにアミノ酸スコアが100になります。このようにメニューを選ぶとアミノ酸バランスが整い健康な肌に近づけます。良質なタンパク質を効率よく摂るためにも、これからはアミノ酸スコアを頭に入れておきましょう。
<きちんと摂りたいアミノ酸スコア100の食品>
・ヨーグルト、卵、鶏肉、鮭、豆腐、ツナ、牛乳、豚肉、かつおぶし、あじ、いわし、さんま、枝豆、おから、豆乳
肉類は部位と調理法でカロリーが大きく変わります。肉類にはたんぱく質が多く含まれていますが、脂肪も多く含まれていて部位によってはカロリー過多になりやすいです。メニューを選ぶときには調理法にも注目し、鶏肉は皮をむくと約44%
もカロリーをカットでき、豚もも肉はゆでると約24%もカロリーを抑えられます。
アミノ酸スコアで大事なのは食材の組み合わせです。例えば、日本人の主食であるご飯はリジンというアミノ酸の含有量が低く、タンパク質源としては不十分ですが、納豆と一緒に食べればアミノ酸スコアは100になります。パスタには肉類や魚介のソースを、パンには卵やチーズを組み合わせるとタンパク質のバランスが良くなります。
また、良質なタンパク質を摂ると「満腹ホルモン(レプチン)」が作られ、食べすぎも予防できます。
日本人は便秘になりやすい?!
便秘は老化の自動発火装置と言われ、さっさと解消しないと老け肌の原因になります。現在、多くの女性が便秘に悩んでいますが、それはなぜでしょうか?日本人はもともと穀類を主食とする農耕民族で、麦飯など難消化物を食べてきました。難消化物は消化に時間がかかるため、小麦を主食とする欧米人に比べ腸が長くなったと言われています。
そこで、この長い腸の健康を保つために日本人は食物繊維や納豆、漬物などの発酵食品をたくさん摂ってきました。しかし、最近は日本食離れが進み、食物繊維や乳酸菌不足の食生活が中心になり、腸内環境が悪化して便秘を抱える人が増えてしまったのです。
便秘の人の腸内では、有益菌が減り食べ物を腐敗させる有害菌が増殖して、アンモニアなどの有害ガスや活性酸素が大量発生します。これらは腸内環境を悪化させるだけでなく、血液に取り込まれ身体全体にダメージを与えてしまいます。有害ガスで汚れた血液が肌に届くと、血行不良などを引き起こし肌のターンオーバーが乱れます。
つまり、内側から老化を加速させてしまう結果となるのです。食物繊維を多く含む食材として、多い順にあげるとアボカド、納豆、ごぼう、おから、ひじき、カレー粉、切り干し大根、わかめ、青のり、干しシイタケとなります。うまく食事に取り入れ、食物繊維を意識的に摂取するようにしましょう。
日本人は糖尿病になりやすい?!
スイーツとお酒好きは要注意で、知らないうちに糖化はすすみ肌が黄ばんでしまいます。甘いもの(糖質)や炭水化物などを食べると血糖値が上昇します。この血糖値を下げるために膵臓から「インスリン」というホルモンが分泌されます。長い間、穀物中心の食生活を送ってきた日本人は、少量のインスリンをゆっくり分泌してきたためインスリンの分泌能力が白人の半分程度しかありません。
そのうえ、現代の欧米型の食事はインスリンを大量に必要とするため、血糖値を下げるための負荷が大きく糖尿病になりやすいのです。また、血糖値の上昇は肌にも悪影響を及ぼします。それが、最近よく耳にする「糖化」は、体内の余分な糖がタンパク質と結びつく反応のことになります。
食後の血糖値が150を超えると、AGEs(終末糖化産物)という強力な老化促進物質が作られ、たんぱく質を焦がして肌を黄ばませます。AGEsは一度作られると自力では除去できず体内に蓄積され、コラーゲンを壊してシワやくすみを引き起こします。糖化に年齢は関係なく、お菓子ばかり食べている人は糖化が進んでる可能性大です。
糖化を予防するには血糖値をコントロールすることが大切です。食後、急激に血糖値を上げないように食べ合わせに注意しましょう。例えば、白米、パン、うどんなどの生成された炭水化物は血糖値が上がりやすいので、野菜やキノコ類、海藻類や肉、魚、卵、納豆や漬物などの発酵食品といった血糖値を上げにくい食品と一緒に摂るようにしましょう。
次回は、「肌の悩み・トラブルを解決する」~肌の乾燥・シワを防ぐためのスキンケア~
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