素肌の美しさを高めるスキンケアの正しい知識　皮膚科学から見るスキンケアとメイク

クレンジングマッサージは肌のキメを壊す

肌にのせて１分以内に手早くが基本です。長時間のクレンジングは乾燥肌を招き、肌トラブルのもとになります。世の中には「クレンジングでマッサージしながら毛穴の汚れを溶かしだす」などのキャッチコピーがあり、それを真に受けて肌荒れや乾燥肌の女性が増えているのだと思われます。

クレンジング料はメイクを落とすために欠かせないものですが、肌にしっかり密着したメイクを落とすだけの除去力をもっていると、メイクを落とすと同時に肌に必要なうるおいも奪ってしまうという要注意なアイテムでもあるのです。

メイク浮かせて肌から離すのはクレンジング料の成分に含まれる「油分」と「界面活性剤」の力です。油分は特に問題ありませんが、界面活性剤は落ちにくい油性の汚れに吸着し、水で洗い流しやすくする作用を持つ成分なので、肌に存在する保湿因子も一緒に溶かしだしてしまいます。

クレンジングをマッサージなどで長時間肌にのせていると、その分保湿因子が溶けだす量も増え、肌は水分を抱え込めなくなり潤いがなくなります。当然、肌の「キメ」も無くなり、肌の透明感やふっくら感も失われてしまいます。つまり、短時間でさっと終わらせる必要があるのです。

間違ったスキンケアで肌の潤いを失わないために

そのため、クレンジング料はメイクを落とす目的だけに絞って使うことが大切です。そこで肌にのせている秒数をクリームやオイルの場合、顔全体に広げるのに１０～１５秒その後４０秒ほどなじませます。これなら時間が短すぎて毛穴に汚れが残る可能性を減らし、刺激を最小限に抑えられます。

その後、少量のぬるま湯を加えて乳化させてからすすぎますが、肌にのせてから１分以内にすすぐようにしましょう。クレンジングの際の指使いも大切で、肌が動くほどにゴシゴシするのは保湿因子を流出させる原因となるので、肌表面をそっと撫でるようにやさしくなじませましょう。

肌は大きく分けると外界との境界になって肌を守る「表皮」、ハリや弾力を保つ「真皮」、その下にある「皮下組織」という３層になっています。表皮のもっとも外側にあるのが角層であり、角質細胞が並びその隙間を細胞間脂質が埋めています。

細胞間脂質には「セラミド」や「コレステロール」があり、その量が十分であれば水分を抱え込んでキメがふっくらし、不足すると肌の水分量が低下しつぶれてしまいます。大切な「肌の潤いを保つ物質」を間違ったスキンケアで失ってしまわないように気をつけましょう。

最後に肌の潤いを保つ要素は３つあり、肌表面を覆う”皮脂膜”、表皮上部の角質細胞の中にある”ＮＭＦ（天然保湿因子）”という水性の保湿因子、そして最も重要なのが角質細胞の隙間を埋め、水分の蒸発を防ぐ”細胞間脂質”となります。

肌荒れの原因に　大容量シートマスク使っていない？

ここぞという日の朝だけに「個包装」のシートマスクを使いましょう。顔型のシートに美容液や化粧水がたっぷり含まれていて、女性が好んで使うシートマスクはみずみずしくひんやりした感触は気持ちいいですよね。夜に使えば一日の疲れが取れるような感覚は癒しになります。

朝に使えば毛穴がキュッと引き締まるような感覚があり気合が入ります。毎日使うことを提案する「大容量」タイプも増えましたが、大容量のシートマスクをいくら使ったところで、残念ながら根本的な保湿ケアにはなりませんし、むしろ肌荒れを悪化させる原因ともなってしまいます。

シートマスクに含まれる成分には、水はもちろん保湿成分や植物エキスが含まれています。その中には防腐剤も使用されているので、開封して何日経ってもカビが生えないのです。もちろんほとんどのスキンケア化粧品には基本的に防腐剤が使われています。

しかし、大容量マスクは細菌がいっぱいの素手でマスクを取って使うことを想定し、より強い防腐剤が使われていて、その液を肌に浸透させることになるので、肌に刺激を与えたりバリア機能を壊したりする可能性があります。

中には防腐剤フリーをうたう商品もありますが、これは成分表示しなくてもよい防腐効果のある代替品を使用しているだけで、それが肌に優しいかどうかは定かではありません。

シートマスクは肌が健康な時に使うのが正解

それでは、個包装タイプならいいかというと確かに防腐剤の量は減りますが、肌にとって必ずしも必要なスキンケアとは言えないでしょう。肌にとっての保湿とはセラミドやアミノ酸などの保湿因子を与えたり、クリームなどで覆って潤いの蒸発を防いだりすることです。

シートマスクで与えられるのは、主に水分なので根本的な保湿ケアにはならないのです。そもそも肌は濡れると潤いが流れ出し、バリア機能が低下する性質を持っています。シートマスクを貼っている５～１５分ほどの間に、肌の表面からは水分が蒸発していくのでかえって乾燥を招くことにもなります。

化粧水をコットンに含ませて顔に貼るローションパックも同じことがいえるので注意が必要です。とはいえシートマスクを使ってはいけないというわけではありません。個包装タイプできちんと保湿成分が含まれたシートマスクに限られますが、即効美肌アイテムとして使うこともできます。

ここぞという日の朝に使えば、透明感を高めメイクのノリをよくしてくれるでしょう。肌に集中的に潤いを与え柔軟にする効果が期待できるからです。ただし、週１～２回までで、肌のバリア機能が整ったときだけにして肌の負担を減らしましょう。

毛穴詰まりに剥がすパックを使うのは逆効果

角栓は引っこ抜かず、酵素洗顔やクレンジングオイルで優しく取り去るのがベターです。女性が気になる毛穴詰まりとは、Ｔゾーンやあごにできる毛穴のブツブツとした「角栓」は皮脂と古い角質が混ざったものです。

最初は柔らかくても時間が経つと硬く取れにくくなり、毛穴を押し広げるようになります。皮脂なので酸素に触れると酸化して黒ずんでいきます。そのため肌にシートを貼って剥がすパックや薬剤を固めて剥がすパックはこの角栓を引っこ抜くために使われます。

剥がしたパックには角栓がびっしりとつき、肌には角栓が取れた毛穴がぽこぽこと穴がいて、爽快感が得られるのでやみつきになってしまう人もいるようです。でも、実は剥がすパックによって角栓はますますできやすくなってしまうのです。パックを貼って剥がすというのは、肌に大きな刺激と負担を与えます。

剥がすと同時に表面の角層を無理やりはぎ取ってしまうのです。こういったパックを使う人には敏感肌の人は少ないので、特に見た目上のトラブルは起こらないかもしれません。でも角層を剥がされた肌や毛穴の中では、肌の修復機能として大急ぎで代わりの角質細胞を新たに作ろうとします。

そして再び皮脂や汚れと混ざりあいあっという間に毛穴を詰まらせるのです。そして急いで作られた角質細胞は保湿因子の不足した質の悪いものになります。皮膚科医に聞いたところによれば、剥がす毛穴パックはできるだけ使わないでほしいアイテムの一つとなるようです。

角栓を取り去るおすすめの方法

毛穴パックの代わりにできるだけ負担をかけず角栓を取り除く方法があります。まずは、パウダータイプの酵素洗顔料です。これは、タンパク質や皮脂を分解する酵素が配合され、洗顔しながら肌表面の不要な角質を薄く取り去ってくれるアイテムです。

このとき毛穴から出た角栓の表面部分も落としてくれるので、使い続けることで徐々に角栓が小さく目立たなくなり、新たな角栓が蓄積して硬くなるのを防ぎます。基本的には毎日使っても問題ないアイテムですが、肌質とも相談して使うのが無難でしょう。

オイリー肌や普通肌の人なら、クレンジングオイルを使うのもおすすめです。顔全体になじませた後、角栓が気になる部分だけ優しくくるくると短時間マッサージをして、少量のぬるま湯で乳化させてからすすぎ、その後洗顔をすればいいだけです。

ただし、クレンジングオイルには界面活性剤が入っていて肌の潤いを奪うので、角栓がぽろぽろ落ちるまで長時間マッサージするのはやめましょう。１か所につき１０秒程度が目安になります。酵素洗顔やクレンジングオイルの後に、角栓がぴょんと飛び出している場合があります。

その時は、肌が湿っていて柔らかいうちに清潔な指先で軽く押すと、簡単に角栓が取れることもあります。ただし、強い力や爪を使ったり、取れないものを無理やり押し出したりすると肌に傷がつくので注意し、あくまで優しく慎重に行いましょう。