白さを求めすぎず、低リスクの成分選びを。過度な美白ケアは肌を破壊する！？

美白のしすぎは肌を壊す

２０１３年の美白化粧品による「白斑」事件は記憶に新しいでしょう。問題になったカネボウ特許の元・美白成分「ロドデノール」など、あの事件の真相と美白のメカニズムについては、「間違いだらけの化粧品選び　自分史上最高の美肌づくり」（奏文堂）という書籍が詳細が書かれていておすすめですので気になる人はご一読ください。

美白化粧品の選び方でまずあなたに知っていただきたいのは、「過度の美白ケアは肌を破壊する」ということです。その顕著な例があの事件でした。ロドデノールだけが有害だと考えるより、「同じような美白成分がまた出てくるかもしれない」と考えて、化粧品を見極める目を育ててほしいと思います。

安全性をとるならプラセンタ

美白化粧品のほとんどは、医薬部外品で「美白」という効果は特別な有効成分を配合しなければ期待できません。これらの有効成分には肌に負担になる可能性の高いものと、そうでないものはありますのでもし美白ケアを行うのであれば、できる限り後者の成分を選びたいところです。

基本的には「美白＝刺激がある」ととらえ、強力な美白化粧品ほど肌に負担だと心得ましょう。私がおすすめしている美白化粧品は「ナプラ」という美容メーカーが発売している「フォーレリア　メディカル・フェイシャルゲル」です。

ほぼオイルフリーのオールインワンゲル（化粧水、クリームなどの役目を一度に果たす化粧品）ですが、保湿力や使用感は抜群の評価です。強い美白作用はありませんが、肌に負担になりにくい「ニチレイ・水溶性プラセンタエキスＢーＭ」が配合されています。

この成分は従来の美白成分（メラニン還元型・チロシナーゼ活性阻害型）のどちらでもないメカニズムで働く成分で、皮膚内の抗酸化酵素を活性化させることで肌の黒化（メラニンの酸化）を抑えます。皮膚への刺激が生じにくく、また抗炎症剤の「グリチルリチン酸ジカリウム」も有効成分として配合しています。

そのため、日焼け後の赤みなどを早く抑えるのにも使えるアイテムです。これ一本で十分な機能性と言えるでしょう。その他の成分もビタミンＣ誘導体、疑似セラミドなど高級ブランドの商品も真っ青な成分のラインナップでありながら、価格は１００ｇで２８００円とかなり控えめで、お求めやすいのもポイントです。

今最もリスキーな成分とは？

白斑騒動で問題になったロドデノールは、高い経皮吸収性と、肌の色素（メラニン）の工場「メラノサイト」を破壊する細胞毒性を持っていました。一度や二度の使用で効果を発揮するものではありませんが、長期的な使用によって微量ずつ皮膚の奥に浸透したロドデノールは、この色素をつくる工場を破壊していきます。

その結果が皮膚の一部の色が消失する「白抜け（異常性白斑）」です。もし、化粧品に詳しい人たちが集まって、「現在までに出てきた数ある美白有効成分で、最も危険なものはどれか？」という話になれば、満場一致で今は無きこの成分を上げることでしょう。

しかし、この成分の使用が認められなくなった現在、次の危険な成分はどれでしょうか？それは「ハイドロキノン」という成分が選ばれるのではないかと思います。

危惧される新たな美白成分の中身

ハイドロキノンは実際に美容皮膚科でも使用されている”皮膚の染み抜き剤”で、高濃度で使用すると強力な漂白作用を示します。しかし、だからこそ危険性も高いのです。じつはロドデノールとハイドロキノンは化学構造が酷似しており、浸透性や細胞毒性もかなり近いのです。

また、ハイドロキノンを使用した患者の皮膚に白斑が起こったとする副作用の報告は、ロドデノールの一件以前より存在していました。つまり、ある意味ロドデノールよりも副作用が出やすく、より危険と言える可能性のある美白成分なのです。

このような安全上の欠点から、現在この成分は医薬部外品の有効成分への認可はされておらず、表向きには美白化粧品としては流通していません。高い効果を発揮する商品を作りたいはずの大手メーカーですら、ハイドロキノンを配合した美白化粧品は作りません。それだけ、リスキーな成分ということです。

化粧品なのに危険視されるあの成分

しかし、一方で一般の化粧品として２％まで配合が可能とされていて、通販サイトなどではハイドロキノン２％配合のクリームなどが販売されています。ところが、この「２％」は以前事件が発生したロドデノールの美白化粧品と同じ濃度です。

化粧品としての使用では、医療機関と違って医師などのアドバイスもなくよりリスクは高まります。もし、ハイドロキノンがロドデノールと同等か、それ以上の効果を持つ成分だったとしたら、長期間の使用によって同じ副作用が起こってもまったくおかしくありません。