弱酸性洗顔料で洗えば、皮脂を取り過ぎないため乾燥肌の人でも大丈夫

健康な肌の表面は弱酸性

皮膚の表面は「弱酸性」で、これは私たちの皮膚の表面に棲んでいる「皮膚常在菌」の働きのおかげです。肌はつねに肌を守るための皮脂を分泌していて、この皮脂を皮膚の常在菌が分解し、弱酸性の「脂肪酸」というものを生成します。この脂肪酸が肌の表面を覆うことで、あなたの肌は弱酸性を保っているのです。

石けんで洗って一時的にアルカリ性になっても、この機能によってあなたの肌は弱酸性を維持しようとします。それは、私たちの身体に悪さをする雑菌やウイルスが基本的にアルカリ性で、それらの雑菌が皮膚上で繫殖しにくくなるように、肌を弱酸性に保っているのだと考えられます。

弱酸性石けんのしくみとは？

つまり人の肌が正常な弱酸性であれば、悪い雑菌やウイルスを勝手に殺菌して、健康な状態を維持してくれるようになっているというわけです。肌の弱酸性はいわば天然の殺菌機能なのです。この機能を阻害しないように洗顔・スキンケアを行えば、市販の殺菌成分配合の洗顔料などは一切不要です。

洗顔用の洗剤として現在も「石けん」が主流ですが、石けんはアルカリ性の洗浄剤なのでいかにオレイン酸石けんといえど敏感肌には刺激が残ります。また、「弱酸性」である人の皮脂と、弱アルカリ性の石けんとは相性が良すぎて、本来必要な油分も過剰に洗浄されてしまうという問題もあります。

人は年齢とともに皮脂が減少しますが、そのような油分が不足した乾燥肌やアトピー体質の人などには、石けんは少し洗浄力が強すぎるといえます。年齢や体質で肌に不安がある人のために、おすすめの洗顔料を紹介していきます。

いいとこ取りの弱酸性石けんとは？

そういう人には脱脂力をわざと控えめに調整した弱酸性の洗浄剤がおすすめです。弱酸性の洗浄成分が入った商品で安価なものは少ないですが、それでもむやみに高級ブランドの商品を使うことを考えれば、継続使用できる価格帯だと思います。おすすめしているのは「ココイルボディソープ」です。

ココイルボディソープの主成分「ラウレスー５カルボン酸ナトリウム」は通常「酸性石けん」と呼ばれています。「ラウレス」というと、脱脂力の高い合成洗剤のラウレス硫酸ナトリウムをイメージさせますが、こちらの洗浄成分とはまったくの別物です。

石けんと同じ「カルボン酸」の構造を持ち、環境への負担が少ないうえ弱酸性に調整しても、洗剤として優れた性能を発揮する性質から、最近では美容業界で人気を博しています。この成分は石けんと弱酸性の洗浄剤のいいとこどりの成分なのです。

低刺激洗剤として人気のアミノ酸系洗浄剤と並んで驚くほど低刺激なのにアミノ酸系では得られないしっかりとした洗浄機能を持ちます。そして、「目に入っても石けんのような強烈な痛みはなく傷口を洗っても染みない。」「洗いあがりも過度に脱脂されず、乾燥しにくい」ことがポイントでまさに敏感肌向けの万能型洗浄成分といえます。

サロン専売のやや高級なシャンプーなどには、これまでも比較的頻繁に配合されてきた成分ですが、できるだけ安上がりを求められる店頭販売のボディソープに配合するにはコスト的に難しく、現在でも商品数は多くはありません。その先駆けとなったココイルボディソープもネット通販が基本で、レアな弱酸性洗浄剤といえます。

ピーリング剤配合は肌に負担になる？

一方で最近の洗顔料の流行りとして、とにかく高い洗浄力のものが好まれる傾向があります。その一つとして、「ＡＨＡ（αーヒドロキシ酸）」や「タンパク質分解酵素（プロテアーゼ・パパイン）などのピーリング成分を配合した洗顔料が人気です。

これらの成分は皮膚の角質を分解して洗浄するため、ふつうの洗顔料で洗う以上にツルツルの洗いあがりになりますが、使いすぎると健康な肌も分解して削ってしまいます。毎日使用した結果、肌が乾燥しやすく敏感肌になってしまうこともあります。

※パパイン：パパイヤ由来のタンパク質分解酵素の一種。肌の古い角質（＝タンパク質）を分解するとしてピ－リング剤にも使われる。