皮膚科医に聞いた肌トラブルの正しい解決策
目次
「誰かに相談したいけど恥ずかしくてできない」そんな肌の悩みを解決します
Q1 もうずいぶん前からお尻にブツブツと湿疹のようなものができて治りません。どうしたらいいでしょうか?
A 漢方薬で体質を改善しながら衣類にも気を配りましょう
お尻のブツブツで悩んでいる患者さんは意外に多くて、大部分はニキビのようなものです。下着で蒸れたり座るたびにこすれたりするので、毛穴の中の雑菌が繁殖して炎症を起こしているのです。免疫が弱いなど体質的なことが関係しています。
お尻のニキビには漢方治療が有効なことが多いようで、代表的な処方は「十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)」という体質改善剤です。また生理前に悪化しやすい人もいるようで、貧血気味でむくみっぽいなら「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」。
イライラ感が強いなら「加味逍遥散(かみしょうようさん)」、冷えやのぼせがある、生理前に下腹がポッコリするなら「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」を良く処方します。また、ジーンズやナイロンのパンツなどの蒸れやすい衣類やガードルのように擦れやすい下着は、悪化の原因になるので控えましょう。
Q2 軽く動くだけでも汗をかくほどかなりの汗っかき体質で、ワキガ7じゃないか不安です
A 汗かきとワキガはまったく別ものです
単に汗かきの「多汗症」とにおいのある「ワキガ」は全く違い、自分がどちらか分からない場合はまず下の3つをチェックしてみましょう。
①両親のどちらかがワキガ体質
②耳垢がしっとりしている
③白いシャツのわきの部分が黄色くなる
3つとも当てはまる人は、ワキガ体質の可能性があります。
また、「多汗症」と「ワキガ」は汗の種類が異なり、汗を分泌する汗腺には2種類あるのです。1つは全身に分布している「エクリン汗腺」でサラサラで透明の汗を分泌し、この量が多い人はいわゆる多汗症です。もう一つは「アポクリン汗腺」で全身の中でわきの下、耳、陰部、乳輪、おへそだけにある汗腺で、黄色く粘り気のある汗を分泌します。
このアポクリン汗腺が発達している人がワキガ体質です。ただし、分泌されている汗そのものがにおうのではなく、汗に雑菌が付くとにおうのです。ですから、わきを良く洗って乾かすことである程度匂いを防ぐことができます。それでも解決しない場合は治療を検討しましょう。
病院ではワキガ治療として脱毛や手術を行っています。脱毛は電気脱毛機を使って毛と一緒にアポクリン汗腺を破壊します。手術に比べると効果は落ちるので、症状が軽めの人向きです。手術はわきの下の皮膚に管を入れてアポクリン汗腺を吸引する方法と、切開して汗腺を除去する方法があります。費用は左右両側で30~40万円くらいからです。
Q3 最近口臭が気になります。どのようなケアをしたらいいでしょうか?
A 口臭をカバーするだけでなく根本的なケアをしましょう
口臭は口の中からにおっている場合のほか、胃の中からにおっている場合もあります。口の中からでは、雑菌が繁殖していることが最大の原因で、歯の磨き方が悪かったり、タバコを吸っていたりすると雑菌が増えます。口臭対策の消臭スプレーに頼るだけでなく、歯科で歯の衛生状態をチェックしてもらいましょう。
また唾液の分泌が量が低下しても雑菌は増えやすくなるのは、唾液による殺菌効果が弱まるためです。ストレスなどを受けると、唾液分泌を司る自律神経のバランスが崩れ唾液分泌量が低下する「ドライマウス」を招くこともあります。よく噛まないことも唾液減少の原因になるので食事の時によく噛む習慣をつけ、またガムを嚙むことも唾液分泌を促すので効果的です。
そして胃からにおっている場合は食べたものに関係しますが、深夜に食事をとるなどして胃が荒れていることも原因になり、遅い時間にとるなら消化に悪いものは避けましょう。また、消臭効果のある牛乳を飲むのも手で、タンパク質が胃の中で分解され、においのもととなるアリシンという物質を包み込んでくれます。
Q4 先日帰宅してブーツを脱いだときに「なんか足におうよ」と言われました。足のにおいを消すことはできませんか?
A 足の指の間まできっちりブラシで洗ってみて
ブーツを脱いだときに足のにおいをだれかに指摘されたり、あるいは自分で気づかれたりする方は少なくありません。朝から晩までブーツを履きっぱなしだと、とくに気になるようです。そもそもなぜ足はにおうのかというと足の裏と手は身体の中でもっとも汗を多くかく部位で、さらに足はブーツやタイツなどで蒸れやすい環境にあります。
蒸れると角質がふやけて雑菌が繁殖しにおいを発生するようになります。また、足の爪のをのばすと爪の下に角質がたまりこれもにおいの原因になります。においを防ぐためには、足の裏はもちろん足指のあいだまできっちりと洗うことで、においのもとを断つのが一番の予防策になります。
Q5 乳首がかゆくてたまらないのですが、恥ずかしくて誰にも相談できません
A ステロイドの軟膏を処方してもらいましょう
乳輪のかゆみはじつは珍しいものではないので、まずは恥ずかしがらずに皮膚科を受診しましょう。アトピー性皮膚炎などアレルギー体質の人は乳輪部分にかゆみが出ることが多いようです。下着などで擦れるという物理的な刺激が原因のこともあります。かゆみがでると就寝中などに無意識にかきむしってしまいがちで、ひどくなるとジュクジュクした汁がでます。
また乳輪の皮膚がカサむけてしまうこともあります。基本的にはステロイド軟膏を塗って治療し、数日塗ればいったんは治まることが多いのですが、再発することもあります。再発したらまずは薬を塗って根気よくケアをしていき、下着などを擦れにくく肌触りの良いものに変えるのも効果的です。
Q6 乳輪や陰部の黒ずみはレーザーなどで薄くすることできますか?
A 残念ながら薄くすることはできません。気にしないことが大事
「性体験が少ない女性の陰部はピンク色で、性体験が多い女性の陰部は黒くなる」という俗説がありますが、これはまったく根拠のないことです。乳輪や陰部は生理的色素沈着部位と呼ばれ、メラニン細胞の活動が盛んな部位です。
よって大人になれば誰でも多少はホルモンバランスの影響でメラニンが増え、また妊娠中はだれでも黒っぽくなります。「黒ずみが気になるので、レーザーで薄くできませんか?」という人がときどきいらっしゃいますが、残念ながらできないと言われています。
なぜならシミなどの色素沈着と違って、あくまで正常な皮膚の色だからです。そもそも「黒っぽいのが気になる」という女性のほとんどは見ると普通の色をしています。自然な色を黒いと思い込んでいる人も多いようです。
また診察を通してたくさんの女性をみてきた皮膚科医が言うには、大人の女性の場合は乳輪がピンク色の人などほとんどいません。程度の差こそあれ黒っぽいのが普通なのであまり気にしないことが肝心だそうです。
ただし、かいてしまって乳輪が黒くなったなどの炎症性の色素沈着の場合はピ-リングなどで薄くできる可能性があります。
Q7 2,3年ほど前から陰部のかゆみで悩んでいますがどうすればいいでしょうか?
A かいて悪化させる前に早めに皮膚科を受診して
陰部のかゆみには様々な原因がありますが、その約3分の1は「ガンジダ膣炎」によるものと言われています。多くの女性が一度は経験するもので恥ずかしいものではありません。これはカンジダというカビの一種が、膣の中で繁殖することが原因で陰部がかゆくなるほか、白い粉状のおりものが出るのが特徴です。
このような症状がある場合は、皮膚科あるいは産婦人科を受診してカンジダを殺す塗り薬と膣錠(膣に挿入する薬)を処方してもらいましょう。カンジダ膣炎を性病だと思い込んでいる人も多いようです。たしかに性交渉でうつることもありますが、ストレスなどによる免疫力の低下、抗生物質の使用、便秘もしくは下痢などが原因になることもあります。
また陰部のかゆみの原因は「脂漏性皮膚炎」もあり、毛の生えている部分が特にかゆくなったり、赤くなったり皮がめくれたりします。この場合は弱めのステロイド軟膏でかゆみを抑える治療をします。さらに特別な原因がなくかゆみが生じる「陰部掻痒症」の可能性もあります。
一見すると皮膚には目立った異常が見られないのにかゆみが生じる場合はその可能性があります。ついかきこわすとよけいかゆみが増すという魔のスパイラルに陥ります。早めに皮膚科か産婦人科を受診し、ステロイド軟膏などの塗り薬を処方してもらいましょう。
Q8 ある朝ブラッシングをしていたら、後頭部にいわゆる「10円ハゲ」があるのに気づきショックでした。
A 自然に治ることが多いですが、漢方薬が効くこともあります
10円玉サイズの脱毛部ができるというのは、いわゆる「円形脱毛症」のことが多いもので、突然地肌が見えた時は、人によってはかなりのショックなもののようです。円形脱毛症というのは珍しいものではなく、放っておいても自然になくなるものが多いので、それほど心配はいりません。
ストレスが関係しているとも言われていますが、西洋医学的には原因は解明されていないのです。そのため決め手となる治療法がないのが現状です。血行を促進する塗り薬や、解毒作用を高める飲み薬を処方して様子を見ますがすぐに効果が出るとは限りません。
そんなとき、威力を発揮するのが漢方薬です。ストレスの要素が強ければ、「柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)」「桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」よく処方します。女性特有の不定愁訴がある人は「加味逍遥散(かみしょうようさん)」、几帳面・心配性な人には「半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)」が合うようです。
これを使いながら生活改善も必要で、早寝早起き、適度な運動、バランスの良い食生活が大切です。治るまで1~2年かかることもありますが、あせらずじっくり治していきましょう。
まとめ
いまさら恥ずかしくて聞けない肌や身体の悩みは誰でも経験したことがあるものです。そんなとき自分一人で悩まないでほかにも悩んでいる人がいることを知ること、間違ったケアでその場しのぎをしたりと悪化させないこと、そしてなによりきちんと皮膚科や産婦人科などの専門医を受診して早めに相談することです。
むしろ専門医に行ってしまったほうが、お医者さんは慣れているので早くきれいに治るし、病院の待合室にいれば同じような悩みを持つ女性がたくさんいることも分かります。大切な身体を守れるのはあなた自身の行動だけです。治療と並行しながら、根本的な解決を図るために生活習慣の見直しも頑張っていきましょう。
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