「食物繊維を摂れば、腸内環境が整う」~美肌菌を育てる食物繊維の摂り方~
目次
断食にはほんとに効果があるの?便秘改善が美肌のカギ
食物繊維をあと5g取れば、美肌菌の棲みが整う
腸がキレイになれば美肌菌が育つと言われています。腸内環境を整えることは、糖化や酸化の抑制にも役立ち、美肌菌が育ちやすい環境を作ることにつながります。その一番の決め手となる栄養素が、腸内をキレイにしてくれる「食物繊維」です。そんな食物繊維の正しい取り方を知っておきましょう。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」によると、女性18~69歳)の1日の食物繊維摂取目標は18g以上です。ところが、実際の30~40代の女性の食物繊維摂取量は1日あたり13gほどと言われていて、約5g足りません。日本人の食物繊維摂取量は戦前の3分の1に減っています。
自分では摂取しているつもりでも、実際には足りていないケースがほとんどだと思われますので、より意識的に積極的に取ることを心がけてください。食物繊維はできれば毎食取り入れたいものです。ベジファースト(食事の初めに野菜を取る食事法)を実践する。
あるいは、セカンドミール効果(1日のうち最初に食べた食事が2回目にとった食事の血糖値に影響を及ぼすという理論)を狙って、朝食に食物繊維を摂るようにすれば、さらに効果的です。ちなみに、食物繊維は基本的に摂取量の制限はありません。
ただし、健康のためには他の栄養素も取る必要がありますから、食物繊維だけではなく、いろんな食材をバランスよく摂取するのが理想的です。食物繊維を取り入れた正しい食事を心がけると、腸内に天然の痩せ薬とも言われる短鎖脂肪酸がたくさん作られるため、自律神経の機能が高まって代謝がアップし、ダイエットにも役立ちます。
水溶性食物繊維を少し多めにがベスト
食物繊維には、不溶性食物繊維と水溶性食物繊維という2種類があることをぜひ知っておきたいポイントです。不溶性食物繊維は、腸の蠕動運動を活発にして排便を促し、便の数を増やしてくれます。多く含む食材は、ボソボソとして歯ごたえのあるものです。インゲン豆などの豆類、サツマイモやゴボウなどの根菜、玄米などの穀類などがあります。
一方、水溶性食物繊維は、善玉菌の餌になるとともに、血糖値の上昇やコレステロールの増加を抑制し、便を柔らかくしてくれます。多く含む食材は、水っぽくぬるぬるしたものです。ワカメなどの海藻類、リンゴやバナナなどのフルーツ、シイタケやエノキなどのキノコ類などがあります。
便秘ではない(毎日~3日ごとにバナナ状の便がスルりと出る)場合は、つまり健康的な腸がキープできている場合は、水溶性と不溶性は1対1くらいの割合がいいでしょう。ただ、水溶性食物繊維が多く含まれる食品は限られるため、意識して多めに取るようにするとベターです。
お通じがイマイチなら不溶性食物繊維を増やす
とはいえ、個人で不溶性食物繊維と水溶性食物繊維のバランスを厳密に調整するのは難しいと思います。自分のお通じや腸の状態を見てバランスを取るくらいの感覚でも問題ありません。例えば、夏バテなので胃腸の調子が悪い時には水溶性食物繊維を増やし、便の量が少なく感じた時は不溶性食物繊を増やす。
すっきり便が出ているならそのままのバランスをキープすればOKです。腸の不調はほとんどがストレスから来るものですから、あまり細かく設定せずに気楽に取り組むようにしたいものです。プルーンやドライマンゴーといったドライフルーツなど、不溶性・水溶性食物繊維をバランスよく含んでいる食材を食事に取り入れるのもおすすめです。
中でもバナナは両方の食物繊維を豊富に含み、その上善玉菌を増加させるオリゴ糖もたっぷりです。朝食にぜひプラスしたい一品です。そのほか、最近大麦の一種であるもち麦がヘルシー食材としてブームになりましたが、大麦も2つの食物繊維量をバランスよく含有しています。
特に水溶性食物繊維を多く含んでおり、ご飯に混ぜて主食として食べられるので、手軽に取り入れられるのも魅力です。
便秘が改善されれば、吹き出物やニキビが消える
食物繊維は1日20~25gを目標に便秘をしないことは、腸内環境を整える大切なポイントです。便秘外来に来院される方を見ると、圧倒的に多いのは女性の患者様です。便秘をすると腸での消化吸収機能が低下し、肌の隅々まで栄養が行き渡らなくなり、美肌菌を育む力も弱ってしまいます。
便秘が改善すれば、細胞の新陳代謝もアップするため、吹き出物やニキビが消え、透明感のあるみずみずしい肌に生まれ変わります。便秘外来の医師の意見として聞かれるのが、毎日のお通じを快適にするためにぜひ摂取してほしい「食物繊維」が挙げられます。便のもとになり、便の形も作ってくれる食物繊維は、便秘解消には必要不可欠なものです。
日本人の1日の食物繊維摂取基準は18g以上と言われますが、便秘が深刻な方はさらに多くの食物繊維をとる必要があります。できれば20~25gを目安に摂取しましょう。便秘外来の患者様にもそう進めています。これはレタスなら20玉ほどの量となり、簡単に取れる量ではありませんが、 便秘に悩んでいる方はぜひ実践してみてください。
食物繊維を取っているはずなのに、「どうもお腹が張る」「便がスムーズに出てこない」そんな時は、便を柔らかくする水溶性食物繊維ではなく、便のカサを増す不溶性食物繊維を多く取り過ぎている可能性があります。便秘が長く続く場合は、不溶性、水溶性イコール2対8の割合を目安に、水溶性食物繊維を多めに摂取してみてください。
水溶性食物繊維を含むおすすめの食材は、ペプチドが豊富なリンゴ、バナナ、キウフルーツ、みかん、イチゴなどのフルーツなどで、ペクチンは食物繊維の一種で、乳酸菌などの善玉菌を増やしてくれる作用があります。皮に多く含まれているので、できれば皮を剥かずにいただきましょう。
毎日、2品目以上の発酵食品を食べる
善玉菌がたっぷりの発酵食品も毎日の食事にプラスしたいものです。腸内環境のバランスを整えてくれるので、便秘の改善に役立ちます。発酵食品は、味噌、納豆、漬物、甘酒、キムチ、チーズなど色々ありますが、それぞれ菌の種類が違います。例えば、味噌や甘酒には麹菌、 納豆には納豆菌、キムチには乳酸菌が含まれています。
腸の中には細菌が約1000兆個、1000種類以上も存在すると言われています。ですが、実は善玉菌だけが存在していればいいわけではなく、多種多様な菌がバランスよく共生関係を保ってるのが理想です。腸内細菌の多様性を維持して腸内環境を整えるためにも、発酵食品は1種類だけではなく、毎日様々な種類のものを取るのがベストです。
最低でも1日2品目以上食べるようにしてください。乳酸菌が豊富なヨーグルトも種類が豊富ですが、メーカーやブランドによって菌が異なります。自分の腸にあった菌を含むヨーグルトを見つけたい方は、まずは2週間、 同じヨーグルトを1日100~200gを取り続けてみてください。
それで便秘が解消したり、バナナ状の便がスルっと出るようになったら、そのヨーグルトの菌があなたの腸と相性が合うということです。腸の調子に改善が見られなかったら、他のヨーグルトも試してみましょう。
白砂糖をやめてオリゴ糖を使う
甘味料は、白砂糖の代わりにオリゴ糖、黒糖、てんさい糖、メープルシロップを使うといいでしょう。生成された白砂糖は血糖値を急激に上げやすく、肌老化を招く糖化にもつながります。オリゴ糖は、食後の血糖値の上昇を抑えるとともに、腸内環境を整える作用もあるとっても優秀な食材です。
腸内のビフィズス菌の栄養素となり、善玉菌の繁殖をサポートします。シロップは顆粒のものなどが市販されており、煮物の調味料やヨーグルトの甘味料としても手軽に使えます。また、オリゴ糖はバナナやこぼう、蜂蜜などの食材にも豊富に含まれています。
そのほか、便秘解消のために習慣にしてほしいのが、朝起きてすぐにコップ1杯の水を飲むことです。それから、毎日朝食をきちんととることです。この2つの習慣が、腸の前動運動のスイッチを入れ、心地よい便意を促してくれます。朝食を作るのが面倒なら、ヨーグルトやバナナだけでもいいので、何か必ず口に入れることです。
これは便秘の方に限らずですが、食欲がない時も朝食だけは抜かないようにしましょう。糖化を防ぐためにも大切な習慣です。
3日間の断食は美肌菌の育成に効果大
美肌菌の棲む環境をリセットしよう。ファスティングとは、いわゆる断食のことで、もともと精神修行や民間療法として行われてきましたが、最近は医療分野でも注目を集めて、いま 短い期間で効率的にダイエットができると人気のこのファスティング。実は美肌菌にもいい影響を与えます。
悪玉菌でいっぱいの腸をリセットし、美肌菌が育ちやすい腸内環境に整えてくれるからです。便秘がひどかったり、腸の調子をスッキリさせたい時は、ファスティングに挑戦してみるのも1つの方法です。ただ、医学的に見て、海外セレブなどが発信している酵素ドリンクを使ったファスティングはおすすめできません。
酵素ドリンクは糖質がたっぷり含まれているものが多いからです。腸内環境を悪化させて糖化を招くことになりますし、繰り返し使用すれば糖尿病のリスクも高めます。水しか飲まないようなハードなファスティングもありますが、逆に自律神経のバランスを崩してリバウンドしてしまう可能性があります。
ファスティング初心者は、まずは3日間のプチ断食にトライしてみるのがおすすめです。方法は、次のメニューを3日間続けるだけです。
朝食:バナナとヨーグルト
昼食:サラダのみ
夕食:かつおぶしをかけたおかゆ
これだけで腸内がデトックスされ、便秘が治ってしまうこともありますので、週末などを利用してぜひ試してみてください。「やっぱりこれだけでは空腹に耐えられない」という方は、腸の善玉菌を増やしてくれる発酵食品を食べましょう。消化しやすく胃腸に優しいお味噌汁や甘酒のほか、納豆、チーズなどをよく噛んで食べるのもおすすめです。
これはファスティング実践中に限らず、咀嚼をきちんとすることは、消化酵素の分泌量を増やし、腸内環境の改善につながります。また、よく噛む動作により満腹中枢が刺激されるので、食べ過ぎ防止にもつながります。もっと詳しくファスティングのやり方を知りたいという方は、「たった3日で自律神経が整うドクター小林流 健美腸ファスティング」の内容を参考にしてみてはいかがでしょうか。
次回、「糖質制限が美肌を遠ざける」~肌にダメージを与える糖質制限ダイエット~
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