リップケアでは化粧品・医薬部外品・医薬品の使い分けが肝心！敏感肌では注意するべき成分表示も

リップクリームの種類

リップクリームには「化粧品」と「医薬部外品」、そして「医薬品」の３種類があります。リップクリームを選ぶときに、この区分を気にしたことがある人は少ないのではないでしょうか。まず、化粧品と医薬品のリップクリームの違いは、以下のようになります。

「化粧品」は油分の補給や保湿作用が基本の機能で、刺激などは少なく安全性が高い代わりに炎症を抑えたり、ひび割れを修復するような機能はないです。赤ちゃん用のリップクリームやカラーリップなど、刺激を抑えたものやメイク機能も兼ねるものは化粧品登録が多いようです。

「医薬品」は強力な抗炎症効果やひび割れを７補修するような効果を期待できる反面、薬なので副作用のリスクがあります。唇の場合は皮膚が薄く、皮脂や汗が出ないのでその分敏感で、薬の効果も出やすいですが副作用も起こりやすいと言えます。

そして、「医薬部外品」とは、化粧品よりは補修効果がありながら、医薬品よりは効果が少ない（しかし副作用も少ない）ものになります。

医薬品の乗用は逆効果になる？

有名な医薬品のリップクリームを例にとってみてみると組織を修復する「アラントイン」と抗炎症成分の「グリチルレチン酸」がメイン成分で、荒れやひび割れを強力に修復する効果があります。乾燥などによって唇の荒れがひどいときに、とても頼りになる薬です。

しかし最近は、このような医薬品のリップクリームをあたかも化粧品や医薬部外品のアイテムと同じように常用している人が増えています。医薬品には、唇のパックリ割れや過度の皮むけを修復する効果が間違いなくあります。しかし、その分副作用として皮膚がより敏感になってしまいます。

そのため、これを常用すると普段から唇がちょっとしたことで荒れやすくなってしまいます。医薬品のリップクリームは本当に困ったときだけ使用するようにして、普段は別の商品を使うことをおすすめします。

＜注目したい医薬品リップの成分表示＞

・アラントイン：表皮の細胞増殖を助けて古い角質を剥がすという、傷などの修復効果・皮膚の代謝効果・抗炎症効果がある。

・グリチルレチン酸：植物のカンゾウ由来の成分で、肌の炎症を抑える効果がある。ただし、多用するとステロイド剤のような免疫抑制の副作用がある。

「薬用リップ」も良く見極めて使うこと

日常的に唇が荒れやすいと感じているときは、よほど大きな裂傷ができていない限り医薬部外品のリップクリームを選ぶのが良いでしょう。「薬用」と書いてあるものも多いですが、これらも医薬部外品です。また、医薬部外品ならなんでもいいわけではなく、より刺激になりにくい有効成分が配合されているものを選ぶ必要があります。

例えば有名どころでは「ニベア　モイスチャーリップ　ウォータータイプ」は優秀なアイテムです。抗酸化及び血行促進作用の「ビタミンＥ誘導体」と、抗炎症作用の「グリチルレチン酸ステアリル」が有効成分です。ベースは皮膚に柔軟性を与えるオリーブ油に、濃厚な油膜で皮膚を守るパラフィン油とワセリンがバランスよく配合されています。

さらに花王お得意の疑似セラミド「ラウロイルグルタミン酸ジ（フィトステリル・オクチルドデシル）」も配合しており、市販のリップクリームの中では間違いなくトップクラスの性能を持つ商品の一つと言えそうです。一方で、医薬部外品でもやや敏感肌への配慮が少ない商品もあります。

敏感肌の唇を持つ人に注意して欲しいこと

有効成分に「ＤＩーカンフル」が配合されているタイプは、少なくとも敏感肌の唇にはおすすめしにくいと言えます。この成分は簡単に言えば、皮膚に微弱な刺激を与えることで血行を促進して、それにより肌の代謝（再生）を促し、皮むけなどを抑制する成分です。

しかし、刺激に代謝を促される前に皮膚が負けてしまえば、逆に唇荒れを引き起こす原因にもなります。さらにメントールなどの清涼成分が配合されていると、これも刺激になります。例に挙げた商品の成分表示はとてもシンプルな成分構成になっていて、一見好感が持てそうです。

しかしラノリン油にはアレルギーの懸念がありますし、ほとんどの成分が皮膚の上に強力な油分の膜を作るだけの作用なので、柔軟性を与えるなどの効果は期待できません。つまり、肌表面がべたつくだけという、今一つの使用感となりそうです。

＜敏感肌の人は気を付けたい成分表示例＞

Ⅰーメントール、ＤＩ ーカンフル、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン、セレシン、香料（医薬部外品のため順不同）

・Ⅰーメントール：植物のハッカ由来の成分で、肌に清涼感を与えかゆみを鎮める効果もあるが、肌が弱いと刺激になる可能性がある。

・ＤＩ ーカンフル：皮膚に弱い刺激を与え、血行を促進する。それにより代謝を促し皮むけを改善するが、肌が弱いと悪化する場合もある。