美肌スキンケアの新常識とは？健康的な心と体を土台にしたシンプル美容術　

ありのままの肌細胞が最も美しい

お伝えしたい”飾らない美”とは単に不自然に着飾らないことを意味しているのではありません。人はぞれぞれ骨格に合った美しさがあり、素敵なオーラをまとっています。だからこそ他人と比較ばかりしないで、最高の自分を目指してほしいのです。また、同時に”肌細胞を化粧しない”という意味もあります。

”細胞の化粧”とは何かー大きく分けて２つあります。１つ目は「基礎化粧品による取り繕い」で、肌細胞のバリアが破壊されている状態で化粧品を使用すると、本来角質層を超えて浸透することのない化学成分が細胞内に取り込まれてしまいます。

すると一時的に肌がふっくらとしてハリが出たように感じますが、実際には細胞の炎症を誘発したり、乾燥肌になったりします。２つ目は「メイクによる取り繕い」で、リキッドファンデーションや紫外線吸収剤、汗や皮脂でも落ちにくい商品を使うことです。

すると肌細胞は少しづつ老化し化粧でごまかさないと人前に出られないような肌になってしまうので、注意が必要です。本来肌にはバリア機能や保水機能が備わっていますが、上記のように肌細胞に化粧をするその場しのぎのケアは、その機能を壊してしまいます。

劣化した細胞であれば内側からゆっくりと再生させ、健康な細胞であれば老化をできる限りゆっくりさせる。そんな若々しく見える「アンチエイジング」で年齢マイナス１５％を目指します。

傷を治すことと美肌作りの関係

◇傷を治すのに必要な要素＝美肌に必要な要素

◇傷を治す力＝皮膚の再生力

◇傷を治す成分＝美肌の成分

傷を治すには肌の再生力が必要で、同じように美しく健やかな肌を保つには、皮膚の良好な再生（ターンオーバー）が必要になります。さらに、傷を”きれいに””健康的に”に治すには、傷そのものの管理、傷が治った後の皮膚の管理、必要な栄養素（食事）や生活習慣（遮光、喫煙、睡眠、運動）などの適切な指導が不可欠で、これらは美肌作りの大切な要素でもあります。

下の図にあるように傷が治る過程は色々な細胞があらわれて適切な働きをし、傷口をふさいでいます。その際にそれぞれの細胞がメッセージを出し合って修復作業を進めていきますが細胞間の橋渡しをする物質がサイトカインや増殖因子となります。これらの物質は線維芽細胞や表皮細胞を活性化するなど、美肌をつくる際も働いています。

すでに、臨床や美容医療にも応用されていて、美容医療では臍帯血由来の再生因子を水光注射などで注入したり、ＣＯ２フラクショナルレーザーといったわざと皮膚に傷をつける施術も行われています。傷を治すのも美肌をつくるのも「皮膚の再生力」を活性化するのがカギになり、そのために必要な成分もケアも共通しているのです。

美しい肌は土台づくりから

美容を考える上で大事なのは「トータルコスメケア」という考え方で、美容ピラミッドがベースとなっています。ピラミッドの下層が美容の土台となり肌をつくる基礎工事の分野で、上層は短期間で効果が明確になる専門的な技術が必要な分野です。

＜美容ピラミッド＞

下から順に

１．生活習慣：睡眠、運動、食事

２．ホームケア：スキンケア、サプリ

３．内科：栄養療法、内服療法、クリニック専売サプリ

４．皮膚科：医療用レーザー、注入系治療、院内調剤コスメ

５．外科：手術

となります。

中にはセルフケアではどうしようもできない悩みもありまずが、やはり下層の「生活習慣」や「ホームケア」がしっかりしてこそ成り立ちます。例えば、美容の施術を定期的に受けていればそれだけできれいでいられるわけではありません。同じようにスキンケアのみ頑張っても不十分です。

美肌作りには体の外側と内側の両方からのケアが大切で、土台をおろそかにしては美も健康も成り立ちません。そのためにまずは生活習慣を整え、次のステップでホームケア、その次にクリニックでのケアへと進むのが理想的です。

それでも「ふだん日焼け止めは使わないけど、加齢でシミが出てきたからとってほしい」という人もいます。しかし、レーザーでシミをとっても生活習慣の改善がなければ、またシミはできます。健やかな土台があってこそ上層のケアが活きるのです。

美肌を目指すための３つのセルフケア

真の美肌を目指すには単に肌だけを見ていてはダメで、美肌作りの基本は土台からです。スキンケア以外にも大切にすべきことがあり、身体の外側、内側、心のすべてに対するセルフケアが必要です。例えば、肌に悩んでいる人が「○○を使いたい」というのはあくまで手段でしかありません。

そのひとの本当の目的は「イキイキと楽しく歳を重ねたい」かもしれません。そんな美容に取り組む女性の目的を満たすには、よりよい手段を知ることが大切であり、以下の３つのセルフケアとなります。

１．インナービューティー（身体の内側）

　　☞すべての基礎となる腸内環境を改善するために「デトックス」「善玉菌の育成」「整腸」の３大要素を大切にしましょう。

２．アウタービューティー（身体の外側）

　　☞適切なホームケア（スキンケア）、化粧品、美容法を選択し、「洗う」「補う」「守る」の細胞ファーストのスキンケアを実践しましょう。

３．マインドビューティー（心）

　　☞日常のストレスを取り除き、飾らない自分自身を大切にしたナチュラルビューティーを目指しましょう。

提案するのは「サイエンスビューティー」

サイエンスビューティーとは、理論と根拠に基づいた美容術のことで、当たり前のようですが実際に市販されている多くの美容製品や美容サービスは、「理論」と「根拠」からかけ離れていて、残念ながら自分の子供にも使いたいと思えるものは極めて少ないのが現状です。

「理論」とは、製品やサービスが美容に効果があると考えるメカニズムです。もちろん疾患を取り扱うわけではないので、すべてを完全に解き明かすことは難しいです。でも化粧品なら最低でも実験室レベルで各成分の効果や安全性を評価し、なぜそれが肌細胞に効果があるのか、あるいは副作用がどういうものがあるのか、細かく認識しておく必要があります。

例えば、美顔ローラーなら単に「小顔になるからいい！」とうたうのはナンセンスで、美顔ローラーによって、「過度な摩擦でコラーゲンが引き延ばされて肌がゆるむ」というリスクと「リンパや血流が改善してむくみが取れる」といった効用を、併せて消費者に説明すべきです。ですが、実際にはリスクは示されません。

では、「この商品にはエビデンスがあります」とうたう商品は、すべて信頼していいのでしょうか？答えはノーです。一般には知られていませんが、エビデンスには色々あり実験室レベルでは人への効果の証明になりません。また、人への効果を証明するエビデンスにも６段階あり「専門家の意見」「１例の症例報告」は下層に含まれます。

そのため、たとえ「エビデンスがある」と言っても、万人に共通する証明にはならないということを覚えておいてください。もちろんここで紹介する美容術もすべての人に満足する効果が出るとは言えません。人は一人として同じではないからこそ、正しい知識と自信の体質を考慮して、医学や科学に基づいた自身の細胞を活かす手段を見つけることが大切なのです。

まとめ

今回から「形成外科医に聞いた最新の美肌スキンケアの新常識」と題して新シリーズを始めます。スキンケアに限らず、科学は日々進歩しており、それに伴い化粧品や美容製品もどんどん進化しています。専門家による正しい知識と自身の体質を知ることが、美しく健康的な肌をつくるために大切です。

美肌のための土台作りを分かりやすく丁寧に解説していきますので、日々のスキンケアで実践していくことで肌本来のハリと輝きを取り戻せるようになります。肌トラブルはなかなか人に相談しづらく、またたくさんの情報が氾濫しているためなにを指針にしたらいいか悩んでいる人も多いのが実情です。ぜひ参考にしてみてくださいね！