基本のケアに加えて大人の女性が知っておきたい　肌荒れの防ぎ美肌を作るためのもうひと手間と知識

精製水と比べ水道水は肌に影響があるのか？

水に含まれるミネラル（カルシウム、マグネシウムなど）は多少の肌刺激になることがありますが、日本の水はミネラルの少ない「軟水」で、海外の水より格段にやさしくふつうは水道水の肌への影響まで気にしなくても大丈夫です。

ただし、日本は水質の地域差が大きく水質の悪い地域では、水道水に多くの塩素消毒剤を入れています。この残留塩素でアトピーが悪化する例もあります。水質の悪い地域在住でアトピー肌なら、浄水器を使うなど対策してもよいかもしれません。

精製水を浸したコットンで洗顔時の水道水をふき取る女性もいますが、精製水は腐りやすいのが難点です。ビタミンＣやビタミンＣ誘導体入りの化粧水でも、塩素の作用は弱まりますが皮膚刺激の懸念もあるので注意が必要です。

おすすめは塩素除去できる「浄水シャワーヘッド」に交換することです。実際に使ってみて調べると、ちゃんと塩素が減っていました。自宅の水質は市販の「簡易試験紙」や「残留塩素チェッカー」で簡単にわかります。

オイルは肌の「保護剤」であり、保湿にはならない

スキンケアの目的は保湿とバリア機能を司る「角質層」を整えることですよね。ですから、角質層に存在する水分とセラミドを補うことが重要なのです。一方の「オイル」は角質層を覆っている皮脂の代わりになるものです。

化粧水の蒸発を防ぐフタや、外部刺激から肌を守る保護膜としては役に立ちます。でもそれは、保湿としてではなく保護であり、肌自体が潤うわけではありません。乾燥肌の女子ほどオイルケアをしがちですが、油分を与えすぎると肌の皮脂の分泌がセーブされるため、肌の内部はかえって乾燥します。

乾燥時などに多少塗るのは良いですが、毎日のようにオイルケアをする必要はないと心得てください。なお、クレンジング剤は「油脂」が最適ですが、これはあくまで洗い流すものです。油脂は酸化しやすく、一日中塗っていると空気に触れて酸化するので、多量の塗布は要注意です。

オイルの種類とそれぞれの特性を知る

炭素と水素のみで出来上がった油の性質が強い油を「炭化水素油」といいます。鉱物油やワセリン、スクワランなどがそれにあたります。これらは乳液などのあとに塗れば平気ですが、肌に直接塗ると皮脂を吸収し、乾燥を招きます。水に濡れた肌に塗っても同様なので注意しましょう。

角質層の保湿に必要なのは水分とセラミドであり、油脂は皮脂と疑似の性質があるのでその上に塗布すれば保護膜となります。ただし皮脂は放っておけば勝手に分泌されるので、油脂を使ったスキンケアは必ずしも必要ではありません。

塗りすぎるとニキビの原因になったり、酸化による肌の老化を促進させる懸念があるため、油脂系のオイルをスキンケアに取り入れる場合には塗りすぎに注意しましょう。できれば１～２滴を薄くのばす程度にとどめるのがよいでしょう。

＜オイルの分類＞

１．炭化水素油

　☞最も安定性が高く皮膚刺激の少ないオイルで、肌の保護剤として優秀でありミネラルオイルやワセリンが人気です。中でもスクワランは比較的肌になじみやすい。ただし、安全性が高い一方で肌の保湿効果は低く、直塗すると皮膚内部の油分を吸着して感想を招くこともある。

（例）ミネラルオイル、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン、水添ポリイソブテン、イソドデカン、マイクロクリスタリンワックス、イソヘキサデカンなど

２．エステルオイル

　☞美容オイルとしては「ホホバオイル」が有名で、そのほか合成して作られる合成エステルが主流となっている。炭化水素油と油脂の中間的な性質を有していて、安定性が高く肌の保護剤としても優秀だが、両者の中間的なデメリットを持つ。

（例）ホホバ油、パルミチン酸イソプロピル、トリエチルヒキサノイン、イソノナン酸イソノニル、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸イソステアリルなど

３．油脂

　☞動植物が生成するオイルで、肌本来の保護膜である「皮脂」もこの仲間です。保湿作用と肌なじみに優れ、肌の柔軟作用があるため美容オイルとして注目されている。ただし、安定性には難があり肌の上で分解して刺激になったり、ニキビの原因になることもあるので使用量に注意すること。

（例）マカデミアナッツ油、オリーブ油、米ぬか油、ココナッツ油、ひまわり油、アルガニアスピノサ核油（アルガンオイル）、馬油、ツバキ油、サフラワー油、ごま油など

誇大広告”原液１００％”にだまされない

「○○原液」と書かれた化粧品がありますが、これを「余計な添加物なし、１００％成分そのもの」と思うのは勘違いです。化粧品の成分は基本的に粉末状で、原液に多いプラセンタ、ヒアルロン酸、ビタミンＣ、コラーゲン、セラミドなどももとは粉末です。

これを水や溶剤で薄めて防腐剤などを加えたものが原液となります。原液に定義はなくほぼゼロに近い有効成分しか入っていなくても、「原液」と呼べます。普通は濃度１％もなく、中には普通の化粧品以下の濃度のものもありますが、もちろん高濃度ならよいわけではありません。

また、原液１００％といっても、溶剤（ＢＧ、エタノールなど）や防腐剤は入っています。誇大広告であり、あなたは購入時に勘違いしないように、広告に踊らされない正しい知識と見極める目を持ちましょう。

スキンケアで正しい保湿は損のない選択

洗顔や基礎化粧品を一切しないという肌断食には挑戦する価値はあるのでしょうか？”何もしないスキンケア”これは理論上は間違っていません。肌は自ら水分や油分を分泌しており、それを洗顔で奪って化粧品で補うというのは本来おかしなことです。

とはいえ、メイクをしたり紫外線防止のために日焼け止めやパウダーは塗るべきです。そうなるとクレンジングや洗顔をしないのは困難で、必要最小限の良質な保湿剤を使って角質層の働きをサポートするのは必要なことです。

例えば、毎日洗顔している人は肌が脱脂された分を補おうとして、皮脂を多く分泌します。こうした肌の習慣はスキンケアを変えてもすぐには変化しません。急に洗顔をやめても皮脂の多さは相変わらずなので、ニキビができたりします。

万全の保湿をしてきた人が、急に保湿断ちをしても乾燥します。乾燥対策にワセリンだけ塗る方法もありますが、硬い油なので毛穴詰まりに注意が必要です。洗浄力や保湿力は肌の状態をよく見極めて徐々にダウンをするようにしましょう。

美容液よりクレンジングに投資するほうが肌にいい！

美容液は効果が別格だからちょっと高くても仕方がないと思っている女性は意外と多いと聞きます。ですが「美容液」という呼び名に定義はありません。成分やテクスチャーも関係なく、化粧品会社がそう名付ければ、だれが何と言おうと美容液になってしまうのです。

ほぼ化粧水や乳液と変わらない成分の美容液は多くありますし、そのような商品でも美容液といえば少し高くても消費者は納得するので、売れてしまいます。美白やアンチエイジングをしたいなら、そういった成分入りの化粧水やクリームを使えば十分です。

もちろん素晴らしい美容液もあるのですが、ほんの一握りです。探し出すのは難しくその小さな可能性にかけるよりも、必須アイテムのクレンジングにこだわるほうが賢明といえます。洗顔はどうしても肌の刺激になるので、適当なものを使っているうちは美肌になれません。

＜おすすめ美容成分の例＞

・スキンケア成分

１．プラセンタエキス：動物の胎盤から得られるエキスで美白作用や抗炎症作用などの効能を持つ。美白有効成分にも登録されている。

２．人型セラミド：人の肌に存在するものとまったく同じ構造のセラミドで高い肌バリア効果を持つ。アトピー肌、敏感肌、加齢肌にはセラミドが不足しているとの報告がある。

３．マカデミアナッツ油：人間の油分に最も近いといわれる植物油脂で、肌の柔軟作用を持つ。

４．テトラヘキシルデカン酸アスコルビル：油溶性ビタミンＣ誘導体で効果は穏やかながら皮膚刺激が小さく、敏感肌向けの抗酸化成分である。

５．リン酸ーＬーアスコルビルＭｇ：リン酸エステル型ビタミンＣ誘導体で、美白有効成分に登録されている中で最も安全性と効果のバランスが良いとされている。

６．ヘマトコッカスプルビアリス油：海藻由来のアスタキサンチン含有エキスで、強力な抗酸化成分で鮮やかな赤色の色素を持つ。

・ヘアケア成分

１．ケラチン：毛髪と全く同じタンパク質で、酸化によって固まる性質から毛髪のダメージ部位に吸着して固まりダメージを補修する。加水分解したタイプのほうが髪内部により浸透する。

２．ヘマチン：酸素授受を助けるタンパク質で、酸化還元反応を鎮静化する作用がある。残留薬剤を素早く失活させてくれる。

３．クオタニウムー３３：毛髪の必須脂質「１８ＭＥＡ」を主骨格にした毛髪親和型カチオン界面活性剤のこと。

４．マカデミアナッツ油脂肪酸フットステリル：マカデミアナッツ油から生成するエモリエント成分で、毛髪の柔軟作用がある。

５．γードコサラクトン：ラクトン誘導体で、過熱により毛髪と結合する性質があるので過熱耐性のアップと毛髪保護作用を担う特殊な成分である。