「お湯を弱酸性にする」のが外せない条件！炭酸泉は弱酸性でも「炭酸入浴剤」のお湯はアルカリ性なので敏感肌の人には刺激に

入浴剤で要注意のタイプとは？

配合成分のちょっとした刺激に反応して荒れてしまうのがアトピー体質や敏感肌の常です。保湿のために入浴剤を入れたい気持ちは分かりますが、正しく成分を把握しておかななければ、逆に肌に負担になることがあります。場合によっては何も入れない方が肌にためになることもあると言えるのです。

例えば泡風呂をつくる入浴剤は発泡性の「陰イオン界面活性剤」を配合して泡を発生させていますし、他にも「医薬部外品（薬用入浴剤）」として登録するためだけに塩化ナトリウム（つまり塩）を高濃度で配合している入浴剤もあります。しかし、陰イオン界面活性剤は皮膚刺激になりますし、高濃度の塩も同じ問題があります。

肌と同じ弱酸性がベストな理由

皮膚の表面のＰＨは、弱酸性が最も状態が安定し健康的です。これは入浴に関しても同じことで、皮膚に刺激にならず肌の健康をより保てるお湯は弱酸性なのです。よく「アルカリ性の温泉で美肌になれる」などと言われますが、これはアルカリ性泉が皮膚の老廃角質を分解して柔軟にするためです。

その結果、肌の表面がツルツルになることからいわれているものです。しかし、敏感肌やアトピー肌にとってはそういった角質を少し溶かすような働きさえ刺激となってしまうので、アルカリ性のお湯は敏感肌には向きません。そこで、本当に健康な肌を守るためには、ぜひ弱酸性のお湯を選んでいただきたいと思います。

炭酸入浴剤と炭酸性は別物

血行促進や疲労回復の効果があるとして、「炭酸が発生する入浴剤」は大人気です。しかし、ＰＨの問題を考えると肌が弱い人は炭酸入浴剤を手にしてはいけません。化学での理論上は、炭酸（二酸化炭素）が溶けた水（炭酸水）は弱酸性になります。温泉の弱炭酸泉も、その多くが炭酸が溶け込んだ炭酸泉です。

しかし、もともと二酸化炭素という気体はそれほど水に溶けない性質なので、工場などで高濃度の炭酸水を作るときは無理やり圧力をかけて製造しています。よって、家庭のお風呂の中で二酸化炭素を発生させても、その気体が水に溶け込むことはありません。炭酸が溶けた温泉と「炭酸が発生する入浴剤」が溶けたお湯は別物なのです。

炭酸ガスが発生する入浴剤が敏感肌に向かないというのは「炭酸水素ナトリウム」という弱アルカリ性の化学物質を主成分としているためです。炭酸水素ナトリウムは水と反応して一応は二酸化炭素を発生させますが、やはりそれが水に溶け込むことはなく、そのまま泡として空気中に逃げていきます。

結果としてお湯は弱アルカリ性になるため、敏感肌には向かないお湯を作ることになります。さらに炭酸ナトリウムや炭酸カルシウムなどのより強いアルカリ性物質が入っていることや、合成香料や合成着色料も配合されていることもあり、そのような入浴剤は敏感肌向けとは言えないのです。

＜入浴剤の避けたい成分表示＞

・炭酸水素ナトリウム：水に溶けると敏感肌に向かないアルカリ性になる。発生した二酸化炭素は空気中に逃げるので、水は弱酸性にはならない。

・炭酸ナトリウム・炭酸カルシウム：水と反応して二酸化炭素を出すが、炭酸水素ナトリウムより強いアルカリ性物質なので、肌に刺激を与える可能性がある。

・香料、黄４：表記が香料だけの場合は合成香料がほとんどです。合成着色料の黄４（タール色素）は、アレルギー症例も報告されている。

敏感肌に理想的な入浴剤とは？

敏感肌にも優しい入浴剤を選ぶコツは、まず「弱酸性」であることが第一です。第二に、香料や着色料などのアレルギーの原因になりやすい成分が極力入っていないものを選ぶとよいでしょう。第三に、乾燥や炎症を抑える成分が配合されていれば、なお良しです。

例として商品を上げるとすれば、「キュレル　入浴剤」はなかなか理想的な成分構成になっているといえます。有効成分として配合されているのは「コメ胚芽油」です。これは皮脂にも含まれるリノール酸やオレイン酸などの成分を主体としているコメ由来の油脂で、肌荒れや炎症を予防する効能が期待できます。

また敏感肌に不足しているセラミドの類似体である「疑似セラミド」（ヘキサデシロキシＰＧヒドロキシエチルヘキサデカミナド）」も配合されています。花王独自の研究でこの疑似セラミドとユーカリエキスの効果で肌のバリア機能を引き上げられることが分かっているため、本品にもこの２成分が配合されています。

入浴剤というよりは、まるで保湿剤のような成分となっており「乾燥性敏感肌向けに開発された」アイテムというのもうなづけます。