接着剤やヘアスプレーように固めて伸ばす安易なコスメでその成分も危険だらけ

シワを消す商品は効果が認められていない

以前説明したように化粧品に「できたシワを消す」という効果はありません。できるのは”保湿で肌を膨らませて、シワを目立たなくさせる”か”ポリマーやパウダーを使って覆い隠す”の２つくらいしかありません。実際にそのような効果の化粧品なら肌に負担はありませんし、メイクアップの一環と考えればそれはそれで便利です。

ですが、最近は使う人の「シワを消したい」という願望に付け込んだ悪質な怪しい商品も流通しているようです。目立たなくする、隠すという比較的穏やかな方法を超えて、物理的に肌を固定してしまおうという大胆な化粧品まで生まれているのです。

これらはメイクとして気軽に使う人もいるでしょうが、塗った部分の肌はそこだけ質感が変わるのでうまく化粧がのらなくなります。また、当然皮膚にとってそのような成分で固められることは良いことではありません。しかも、こういった化粧品は妙に高額で、特に低品質や非常に危険なものをお知らせしていきます。

しくみはヘアスプレーのように固める！？

最近特に多いのがこの手のアイテムで、シワの気になる部分に塗り込んで肌を持ち上げた状態でしばらく置いておくこと、、、肌にピンとハリが出るではありませんか！まるでしわが伸びて消えたかのように見えます。

しかし、このトリックは簡単で、このような化粧品には接着剤や糊と同様の成分が配合されています。

この成分は「アクリルポリマー」と呼ばれ、中でも最近はヘアスプレーと同じ主成分が使われることが多いのです。

ヘアスプレーは吹き付けると髪形を固定してくれのと同じ原理で、皮膚を固めてシワを伸ばしているのです。ヘアスプレーのアクリルポリマーは水に溶けやすい成分でできています。つけているときはピンとハリが出ますが、水で流せば元通りです。

外出時など必要な時だけ使える化粧品ですが、敏感肌ではそういう異物感が刺激にもなり、肌荒れを招くこともあるでしょう。このような商品は市販のヘアスプレーと同じような成分にもかかわらず、１０～２０ｍｌで５０００～１００００円するものが多いです。

＜気を付けたい成分表示＞

・アクリル酸アルキルコポリマー：アクリル系の水溶性ポリマー。ヘアスプレーの主成分であり、乾燥すると付着した部位を固める作用がある。

テレビで大人気のあのコスメは？

これまで見てきた中で最も危険だと感じたのは、テレビショッピングでも紹介していて人気があった商品ですが、内容をみるとお世辞にも称賛できないようなものです。主成分として「ケイ酸ナトリウム」という成分を配合しているこちらの商品は表向きには「接着剤で固める」というものです。

ケイ酸ナトリウムは皮膚上で固まってシワを伸ばし、ハリを演出できます。しかしこのケイ酸ナトリウム、じつは専門家の間ではとても危険な成分として知られているものなのです。ケイ酸ナトリウムの別名は「水ガラス」といって、化学実験などでよく使われる成分です。

この物質は水と酸を加えていくと徐々にゲル状になり、次第に固化してカチカチに固まる性質があります。皮脂などの弱酸性物質を利用し、固めてしまおうというわけです。しかしケイ酸ナトリウムは強アルカリ性の物質で、大変強力な皮膚刺激を持ちます。

化学実験では「皮膚に触れないように扱う」ことが基本です。また、この成分が目に入った場合、結晶化した水ガラスが目の組織を傷つける恐れがあります。そんな成分を化粧品に配合して使うなど、日本の化粧品業界ではまず考えられません（実際にこの化粧品はアメリカ製です）。

化粧品の専門家に「そんな化粧品があるはずがない！」と言わしめたほどあり得ない商品なのですが、今でもネット通販しているようなので、どうぞお気をつけください。

＜あり得ない化粧品の成分表示例＞

水、アロエベラ液汁、加水分解コラーゲン、ケイ酸Ｎａ、ＰＧ、ケイ酸（Ａｌ、Ｍｇ）、セルロースガム、、メチルパラベン、プロピルパラベン、トコフェロール、パルミチン酸レチノール、キュウリエキス、アスコルビン酸、加水分解シルク