固形石けんは高すぎずシンプルな内容でさらに「茶色」な低刺激なものを選ぼう

石けんでさっぱりツルツルになるしくみ

洗顔に「石けん」を使う人はとても多いと思います。石けんで洗顔すると要らなくなった角質がきれいに洗い流されてさっぱりツルツルの洗いあがりになります。この良好な使用感から洗顔用の洗剤といえば、今でも石けんが主流となっています。

この使用感の理由は、石けんが弱酸性の脂肪酸を多く含む「油脂」と、強いアルカリ性物質「水酸化ナトリウム（苛性ソーダ）」とを反応させた弱アルカリ性の洗浄剤であるためです。アルカリは老廃角質を柔軟化させる性質があるため、肌の汚れをしっかりと落としてくれるのです。

オススメは茶色の石けんな理由

あなたがイメージする石けんといえば、おそらくその色は”白”でしょう。真っ白で特有の香りがある店頭でよく見かけるような石けんを思い浮かべるのではないでしょうか。ですが本当にオススメなのは「茶色」の石けんです。白い石けんに慣れ親しんだ私たちの目には一風変わって見えることでしょう。

とくに有名な商品としては「アッポレの石鹸」があります。なぜこの石けんの色がふつうの白ではなく、茶色い色をしているかというと、その原材料がオリーブオイルなど色のある特別な油脂を用いているからです。これはあくまで原料の色であり、着色料による発色ではありません。

オリーブオイルには「オレイン酸」という脂肪酸が多く含まれており、そのために肌に刺激を与えにくいと言われています。このオレイン酸は通常の石けんの主成分になっている「ラウリン酸」や「ステアリン酸」よりも分子の構造が大きく、肌や粘膜に刺激になりにくいといわれています。

それゆえに、一般的な白い石けんよりも茶色い石けんの方がよりお肌にやさしいというわけです。

高価な石けんでなくてもいいの？

しかし、オレイン酸を多く含むオリーブオイルや馬油、いくつかのナッツ油などは石けんの原料としてよく利用されているパーム油やヤシ油に比べて原料油脂の価格が高額になります。そのため、こういったオレイン酸石けんはふつうの石けんと比べると値段がやや高いものが多いです。

それでも、１００ｇで数千円ほどもする高級ブランドの洗顔せっけんなどに比べれば、アレッポの石鹸の価格は非常にお求めやすいです。市場を見渡すと、有名な高級化粧品ブランドでも石けんを洗顔料として採用している場合がよくありますが、１個あたり３～５０００円円ほどもするのを見ると価格からして良い商品に思えます。

ですが、石けんはどれだけ価格が高くてもそれほど効果に差があるわけではありません。なにせ固形石けんの基本成分は、ほぼすべてが洗浄成分なのです。たくさんの成分名が書いてあったとしても、洗浄成分以外の成分はほとんど極微量配合で、お肌に嬉しい効果を及ぼすようなものではありません。

＜肌に良くない成分の見極め＞

・ケイ酸アルミニウム焼成物：汚れを吸着する粉として使用されることもあるが、尖った結晶なので目などの柔らかい粘膜を傷つける恐れがある。

・ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸：パーム油やヤシ油を原料とする成分で、安価な石けんの生成分になっている。分子が小さく肌に刺激になる場合がある。

高すぎずシンプルな商品が安全

「アレッポの石鹸」の主な成分は、オリーブオイル、ローレルオイルの２つだけです。石けんの生成に必要な苛性ソーダをわずかに使い、それ以外の余計な添加物は使われていないのでおすすめしています。高価な石けんほどさまざまな成分を配合し、必要以上の付加効果があるようにうたっています。

しかし、これも問題になってきます。小麦アレルギーを引き起こすとして２０１０年に問題になった植物由来タンパク質性分（加水分解コムギタンパク）含有の石けんや、最近ではシラス（ケイ酸・ケイ酸アルミニウム焼成物）などの火山灰成分が配合された石けんの例があります。後者は、眼球の表面を傷つけるトラブルが相次いで報告されています。

このようなケースから見られるように、不用意に複雑な添加物を配合した石けんは健康危害（健康上の悪影響）を引き起こすリスクが高まります。特に洗顔料は目のまわりの粘膜などバリアの弱い部位に触れる可能性があるため、注意が必要です。とにかく固形石けんは価格が高すぎず、成分がシンプルなものを選びましょう。

オレイン酸石けんは、通常の石けんと比べて石けん成分の融点（液体になる温度）が低く、溶け減りしやすい可能性が高いです。それだけ湯に溶けて泡立てやすいのですが、長持ちさせるためには水切れの良い容器に置いておくなど工夫も必要になります。